昨年5月、「社長、その商品名、危なすぎます!」(日本経済新聞社)というタイトルで本を出版させていただきました。

本は新書サイズとなっていますので、知的財産権の知識が全くない方でも読みやすいものとなっています。知らないと怖い商標について豊富な具体例を使って一読すると商標がぼんやりとわかるような書籍になっています。

私は、新書を出版する前、弁理士受験生向けの法律専門書である「理系のための特許法・実用新案法」(中央経済社)を含むシリーズ3冊の本を出版していました。ですが、どうしても一般向けの新書を出したかったです。どうしても新書として出したかったのは、知的財産権のことをもっと身近に感じて欲しいと思っていたからです。

弁理士は、他の士業である弁護士、公認会計士、司法書士、税理士などと比べると圧倒的に知名度が低い資格です。ですが、弁理士が扱う業務は知的財産権であり、商売を行っていく上ではとても重要なかかわり合いを持つ仕事であるといえます。

それにもかかわらず弁理士の知名度はとても低いものとなっています。ですが、知名度が低いのは一つに弁理士自身の責任もあると思います。知的財産権、特に特許権で考えた場合に、権利を保有している約8割は大企業です。大企業には法務部や知的財産部があり知的財産権について周知されているため社員の方は知的財産権の重要性について知っていることが多いです。法務部や知的財産部が無い企業に対しては、知的財産権の専門家である弁理士が本来はもっと重要性を知らせていくべきなのにやっていないのが現状だからです。

私は知的財産権、そして弁理士の仕事を知ってもらうため以前、弁理士会の知的財産権推進員会という会に所属していました。その中で一度、弁理士の仕事をもっとよく知ってもらうために、イオンモールで知的財産クイズの大会を行ったことがありました。

知的財産クイズの1問目の問題は、「特許出願は、愛知県庁に提出する……○か×か」というものです。

第1問目であるため弁理士会としては正答率が高い問題を用意したつもりでした。しかし、正答率がものすごく低かったです。○と答え方がたくさんいらっしゃいました。特許出願や商標登録出願は、「特許庁」にするのは当たり前と思っているのは、どうも弁理士だけのようでした。あとになって反省しましたが、一般的に考えれば出願などは地方の県庁などにするのが当たり前で、東京にだけある特許庁に提出するというのが珍しいのだ、と知りました。ここで、私は知的財産権のことをもっと知ってもらわなければならないと反省しました。知的財産権が知ってもらえないのは弁理士の責任でもあるからです。

そこで、知的財産権を知ってもらうために身近な話題を使って商標の新書本を出させていただきました。この新書を読んでいただいて知的財産権に興味を持つきっかけになって頂けると幸いと思っています。

富澤 正

弁理士。当サイト『発明plus(旧:開発NEXT)』および同タイトルのフリーペーパーの編集主幹。
■経歴
知財コンサルタント。コスモス特許事務所パートナー。名古屋工業大学非常勤講師。
1980年愛知県生まれ。名古屋工業大学大学院修了。
特許業務の傍ら、知的財産の執筆活動・講演活動などを行う。自身の知的財産権を活かしてアイデア商品を作るベンチャー企業Time Factory株式会社を設立し、資格試験の受験生向けの商品などを手掛ける。
■専門分野
知財ビジネスマッチング、開放特許活用戦略、知財を活かしたビジネスモデル作り
■著書
『社長、その商品名、危なすぎます!』(日本経済新聞出版社)
『理系のための特許法・実用新案法』(中央経済社)
『理系のための意匠法』(中央経済社)
『理系のための商標法』(中央経済社)
■連載
『日経産業新聞』にて連載 (2017.5.12~20217.5.20)
『中部経済新聞』「みんなの特許」を毎週月曜日に連載中 (2014.4~現在)『サンケイビジネスアイ』「講師のホンネ」にて月1コラム連載 (2013.5~2014.1)
『日刊信用情報』にて「知財コンサルタント富澤正の「知的財産権を極める」」を週1コラム連載 (2013.9~2014.8)