コラム
Column
強化ダンボールを使った棺桶を製造
有限会社平和カスケットは、愛知県豊田市にある棺桶を作る木工業の会社です。
日本では火葬が一般的なので、棺桶は木製が多いのだそうです。この火葬できる棺桶、土葬に用地の問題や衛生上の問題をかかえる欧米諸国でも広がりつつあるのだとか。
需要は増えつつあるものの、海外産の安い木材を使用した棺桶が日本にも多く輸入されるようになって国産品のシェアを脅かしていることや、違法に伐採された木材が棺桶用として輸入されることによる原産地での森林減少や森林火災など環境問題を引き起こしていることなど、木製棺桶の業界にも課題があるそうです。
そんな中、当社が考えたのは、木材で棺桶の枠を作った上に木材調のプリントを施した強化段ボールを貼り付けるものです。棺桶の大部分に強化段ボールを使用することで、強度を保ちつつも、木材の使用量を抑えることができます。
枠に木材には国内の山林の間伐材を使用しています。間伐材を利用することで森林保全に貢献できるものとしたことで、海外製の木製の棺桶よりは高価であるものの、環境意識の高い大手の葬儀社や個人からの発注を受けられるようになっているそうです。
環境問題という時流に合わせて完成した強化段ボールの棺桶は、外国でも使われるようになっているのです。
木製の棺桶を輸出すると輸送コストが高くつきますが、強化段ボールの棺桶は軽いうえに特許技術によって折り畳むことができるため、安価に輸送できるとのことです。
環境問題に取り組んだ結果、軽さ・運び易さという武器を手に入れたのです。
強化ダンボールを使用した棺桶についても様々な形で特許を取得
当社は9名の企業であり決して大きい企業ではないですが知財活動を積極的に行っている会社でもあります。
そのきっかけとなったのが約20年前に実用新案登録を取ったこと。
その実用新案に関するアイデアについて、登録から半年後には偽物が現れて争いになったそうです。最終的に和解して技術を守ることができたそうで、知的財産権で防衛ができることを実感したとのことです。
これまでも、棺桶のふたの窓の部分に工夫を加えたり、棺桶の組立性を向上させるアイデアなどをいくつも開発し、それぞれに知的財産権を取得されています。
一般消費者向けの商品であっても、目に見てわかるアイデアに関しては積極的に知的財産権を取っているとのことです。
目に見える部分は競業者にもわかる。見てわかる部分は、商品の売りとなる部分が多く、真似もされやすい。だから、目に見える部分のアイデアは特に、知的財産権を取得しているそうです。
代表取締役 日比 章 氏
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