特許・商標は財産である

知的財産権はその名に財産とつくように、一種の財産として扱われます。
例えば、企業買収の局面でも、技術力を反映する特許権、看板を示す商標権は、財産として考えることができます。
そもそも特許権や商標権といった知的財産権は、アイデアマーク(文字や図形など)であって所有・占有といった概念に結びつけにくいだけであり、実はその考え方は不動産などの財産に似ています。
特許や商標のような形のない財産(「無体財産」と言います)は、書類に表して特許庁に申請して権利として確定することで、知的財産権として法的に認められた財産となります。

海外では流通が進んでいる

アメリカや中国では、特許権や商標権が盛んに流通しています。
前述したように、知的財産も財産ですから、売却して利益を上げるのも当然自由です。
特に中国では近年の投資熱の高まりから企業は特許出願を数多くする傾向にあり、今ではアメリカや日本を抜いて世界一位の特許出願数を誇る国となりました。
海外にはオークションによって特許や商標の売買を行い、投資目的で流通させている国もあります。

パテントトロールという存在

パテントトロールという言葉を耳にしたことはありますか?
パテントトロールとは直訳すると特許(=パテント)+怪物(=トロール)という意味で、またの名をパテントマフィアとも言います。
パテントトロールは、特許権などを買い漁り、その権利を侵害しているであろう業者を発見しては損害賠償を請求して稼ぐような人(または企業)を指しており、問題視されることが増えています。
正当に入手した権利を行使しているのになぜ問題になるかというと、パテントトロールは特許権の権利行使(損害賠償請求など)はしますが、その権利の対象である発明品を製造したり販売したりしないことです。
一般的に、競合企業がそれぞれに特許権を有している場合には、それぞれの権利を許諾しあって上手くやっていくということがあります。ところが、パテントトロールは自分は発明を実施しないのですから、一方的に訴えられることしかありません。
しかもパテントトロールは発明を実施しないので、他社に実施の許諾をしない限り、発明の恩恵が社会に還元されることもありません。
こうした問題が表面化したために、例えばアメリカではパテントトロール的な権利行使に対しては一定の制限が加えられるようになってきています。

日本での流通事情

日本の知的財産の流通はアメリカや中国と比べるとまだまだ積極的とは言えませんが、開放特許の話題などもあって知的財産流通の拡がりはみられます。
また、パテントトロールとは違いますが、日本でも商標権の先取りを図ったケースがニュースになったこともありますので、自分の権利は自分で守る必要もあるでしょう。
財産である自分の権利をしっかり確保しつつ、更にその財産を上手く流通に乗せて利益を得られれば言うことありません。

富澤 正

弁理士。当サイト『発明plus(旧:開発NEXT)』および同タイトルのフリーペーパーの編集主幹。
■経歴
知財コンサルタント。コスモス特許事務所パートナー。名古屋工業大学非常勤講師。
1980年愛知県生まれ。名古屋工業大学大学院修了。
特許業務の傍ら、知的財産の執筆活動・講演活動などを行う。自身の知的財産権を活かしてアイデア商品を作るベンチャー企業Time Factory株式会社を設立し、資格試験の受験生向けの商品などを手掛ける。
■専門分野
知財ビジネスマッチング、開放特許活用戦略、知財を活かしたビジネスモデル作り
■著書
『社長、その商品名、危なすぎます!』(日本経済新聞出版社)
『理系のための特許法・実用新案法』(中央経済社)
『理系のための意匠法』(中央経済社)
『理系のための商標法』(中央経済社)
■連載
『日経産業新聞』にて連載 (2017.5.12~20217.5.20)
『中部経済新聞』「みんなの特許」を毎週月曜日に連載中 (2014.4~現在)『サンケイビジネスアイ』「講師のホンネ」にて月1コラム連載 (2013.5~2014.1)
『日刊信用情報』にて「知財コンサルタント富澤正の「知的財産権を極める」」を週1コラム連載 (2013.9~2014.8)