絶対条件は営業

このまま下請仕事だけを続けると危ない」と危機感をもつ会社は増えてきています。
ここ10年でもリーマンショックや円高の影響で元請企業からの受注が流動的に変わり、安定していたとは言えない状況が続いているはずです。
元請企業から発注への依存度が高いと好況のときの経営は安定しますが、元請企業の業績や発注量によっては不安定な経営を強いられる状況ともなりえます。

もともと下請企業には技術力があります。技術力があるからこそ元請企業からの仕事を任され今までやって来られているからです。
しかしながら、その技術力の高さを広く伝えきれていません。だから、下請脱却のためには営業によって自社の技術の高さを広く知ってもらわなければならないのです。
下請仕事を続けているだけなら元請企業が投げる仕事を処理すればよいのですが、新しい仕事を開拓するためには技術力を伝える営業力が不可欠と言えます。

営業を分担するネットワーク

既存の業務もある中で技術力を広める営業をすることは人員的、金銭的に難しいところがあります。そこで、下請企業がネットワークを組んで発注を受けるような仕組みも進んでいます。
例えば、京都府の京都試作ネットワークや東京都の多摩試作ネットワークがあります。
それぞれのネットワークは加入している企業が費用を分担し事務局を作り、事務局が試作品を製造したい顧客をWEBマーケティングにより捕まえる仕組みをとっています。
営業にはコストが掛かるからWEBマーケティングに進む企業もありますが、WEBマーケティングをするにもそれなりの費用と時間がかかります。
それを中小下請企業が作るネットワークで分散負担するという考え方です。こうした動きは他の地域にも広がってきています。

営業を助けるブランド力

ネットワークを組むことで大きな組織になり、その組織にはブランド力が生まれてきます。ブランド力は営業の局面で強い武器となります。
一方、ネットワークではなく、中小の一企業のブランドを考えるとどうでしょうか?やはり、一企業でのブランド力は、通常はあまり強くありません。
そこで一企業でブランド力を獲得しようとする場合は、特徴的な製品を作ることが考えられます。ブランドとはそもそも目印を意味します。自社の技術力を示す目印になるような製品を作るのです。
このような製品を作る場合、持ち運びができるようなサイズのものがオススメです。営業として持ち運びができて、その場で見せることができたほうが、営業の場面ではより役立つからです。さらに、サンプルで渡すことができるほど安価なものにすれば、より広く知ってもらうことができるので、仕事の依頼につながる可能性も増えます。

営業は思い出してもらうことが重要です。
私も弁理士業の傍ら、アイデア商品を作って販売し、時には手渡しています。これは、自分が知的財産を活かした商品を作っていることを知ってもらうためのブランディング戦略でもあります。
実際にお渡ししたアイデア商品を見て、知的財産に関する仕事を依頼いただけたこともありました。
営業に使える目印となる商品を考えてみるのも一つの営業戦略です。

富澤 正

弁理士。当サイト『発明plus(旧:開発NEXT)』および同タイトルのフリーペーパーの編集主幹。
■経歴
知財コンサルタント。コスモス特許事務所パートナー。名古屋工業大学非常勤講師。
1980年愛知県生まれ。名古屋工業大学大学院修了。
特許業務の傍ら、知的財産の執筆活動・講演活動などを行う。自身の知的財産権を活かしてアイデア商品を作るベンチャー企業Time Factory株式会社を設立し、資格試験の受験生向けの商品などを手掛ける。
■専門分野
知財ビジネスマッチング、開放特許活用戦略、知財を活かしたビジネスモデル作り
■著書
『社長、その商品名、危なすぎます!』(日本経済新聞出版社)
『理系のための特許法・実用新案法』(中央経済社)
『理系のための意匠法』(中央経済社)
『理系のための商標法』(中央経済社)
■連載
『日経産業新聞』にて連載 (2017.5.12~20217.5.20)
『中部経済新聞』「みんなの特許」を毎週月曜日に連載中 (2014.4~現在)『サンケイビジネスアイ』「講師のホンネ」にて月1コラム連載 (2013.5~2014.1)
『日刊信用情報』にて「知財コンサルタント富澤正の「知的財産権を極める」」を週1コラム連載 (2013.9~2014.8)