コラム
Column
栃木県宇都宮市新里町で生産されている「新里(にっさと)ねぎ」が、地理的表示保護制度に登録されたことが話題になっています。
産経ニュース – 新里ねぎ、栃木県内初の地理的表示保護登録「品質落とさぬ」地元喜び
地理的表示保護制度とは、品質・社会的評価その他の確立した特性が産地と結び付いている産品について、その名称を知的財産として登録、保護するものとして、平成26年に導入された制度です。
→地理的表示保護制度に関する農林水産省の解説
地理的表示保護制度では、登録された基準を満たす物に限って地理的表示登録標章(通称 GIマーク)を付けることが認められます。
今回の「新里ねぎ」は制度創設以来、35件目の登録です。
→農林水産省 – 登録産品一覧
ここで紹介した地理的表示保護制度は農林水産省が所管する制度ですが、日本の知的財産制度においては、特許庁が所管する商標法にも地域ブランドを保護する制度があります。それが、地域団体商標制度です。
地域団体商標制度とは、地域ブランドの適切な保護を目的として平成18年に導入されたもので、「地名」と「物の名称」からなる地域ブランドを商標として登録できる制度です。
→地域団体商標制度に関する特許庁の解説
草加せんべい、信楽焼、博多人形、蒲郡みかんなど、現在すでに600件以上の地域ブランドが地域団体商標として登録されています。
→特許庁 – 地域団体商標事例集2017
地理的表示保護制度も地域団体商標制度も地域ブランドを保護するための制度ですが、それぞれ登録を受けるための条件や、登録によって得られる効果(保護内容)に違いがあります。
最も大きく異なる点の1つは、登録されている地域ブランドが不正に使用されたときに、その対処を誰が行うのかという点です。地理的表示保護制度では、不正な表示については国(行政機関)が取り締まりを行います。一方、地域団体商標制度では、商標権者が自ら不正使用の取り締まり(警告や訴訟)を行う必要があります。
また、(制度の導入時期が異なるものの)既存の登録件数が大きく違うことから推測できるように、地理的表示保護制度の方が地域団体商標制度よりも登録のハードルが高いと考えられています。
地理的表示保護制度と地域団商標制度の違いについてさらに詳しく知りたいという方は、特許庁が公開している「地域団体商標と地理的表示(GI)の活用Q&A」を参考になります。
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