コミュニティラジオ発のビジネスモデル

災害発生に伴う停電時にはラジオが有力な情報発信手段となることも多く、災害時の対策としてコミュニティラジオ局(地域ラジオ局)が全国に広まりつつあります。
しかしながら、災害対策の目的で作られたラジオ局には、平時の採算が取れていないケースも少なくないといいます。そのような中で、自社のもつ商材であるFMラジオ放送を使った新たなビジネスモデルを創出したのが三重県の株式会社鈴鹿メディアパークです。

コミュニティラジオ局では、地元警察から提供される日常生活の安心安全に関する事柄などの地域にとって有益な情報を発信していますが、近頃ではラジオそのものを持たない家庭も多く、せっかくの情報があまり聴取されていないことを苦慮していました。
そこで、同社が目をつけたのがどこの街かどにもある自動販売機自動販売機にラジオを取り付けたのです。知らせたい情報を放送する際に自動販売機と同じ経路で取得した電源を利用して放送が受信される仕組みを生み出しました。
そばを通った人が自動販売機に取り付けられたラジオから有益な情報を得ることができるようになりました。例えば、不審者の出現情報などが流されることで、街全体として通学時の子どもたちを守れるような仕組みができたのです。
この仕組みは、犯罪の抑止力としても効果がありそうだということです。

街かど安心安全

仕組みを売って収益化

同社では、自動販売機とラジオを組み合わせるサービスを販売するビジネスモデルを確立し、そのサービスについて「飲む防災」「飲む防犯」「街かど安心安全ラジオ」等の商標権を取得しています。
また、このビジネスモデルは特許出願済みなのだそうです。
現在は、全国のコミュニティFMでも導入できる仕組みとして、全国に順次広めていく活動をしています。

地域情報を流すというコミュニティラジオ局の特徴をうまく生かしつつ、同様に地域のインフラとして既存の自動販売機を利用するというアイデアの組み合わせにより創出されたビジネスモデルであると言えます。
成熟したと思われるフィールドであっても、ちょっとしたアイデア同士を組み合わせることで全く新しいアイデアを生み出せるという好例ですね。

富澤 正

弁理士。当サイト『発明plus(旧:開発NEXT)』および同タイトルのフリーペーパーの編集主幹。
■経歴
知財コンサルタント。コスモス特許事務所パートナー。名古屋工業大学非常勤講師。
1980年愛知県生まれ。名古屋工業大学大学院修了。
特許業務の傍ら、知的財産の執筆活動・講演活動などを行う。自身の知的財産権を活かしてアイデア商品を作るベンチャー企業Time Factory株式会社を設立し、資格試験の受験生向けの商品などを手掛ける。
■専門分野
知財ビジネスマッチング、開放特許活用戦略、知財を活かしたビジネスモデル作り
■著書
『社長、その商品名、危なすぎます!』(日本経済新聞出版社)
『理系のための特許法・実用新案法』(中央経済社)
『理系のための意匠法』(中央経済社)
『理系のための商標法』(中央経済社)
■連載
『日経産業新聞』にて連載 (2017.5.12~20217.5.20)
『中部経済新聞』「みんなの特許」を毎週月曜日に連載中 (2014.4~現在)『サンケイビジネスアイ』「講師のホンネ」にて月1コラム連載 (2013.5~2014.1)
『日刊信用情報』にて「知財コンサルタント富澤正の「知的財産権を極める」」を週1コラム連載 (2013.9~2014.8)