技術を借りて商品開発

ソフトウェアの設計・開発を主事業とする株式会社アルコ・イーエックス(茨城県ひたちなか市)は、病床見守りシステム「ペイシェントウォッチャー」を商品化しました。
同商品は、赤外線カメラで撮影した画像を瞬時に分析して、患者の離床・起床状態などを検出するという富士通株式会社が開発した「患者見守り技術」を活用したものです。
富士通が特許として有する患者見守り技術を、アルコ・イーエックス社は開放特許という形で利用しました。

ペイシェントウォッチャー

ペイシェントウォッチャーのセンサー

開放特許は一部品である

アルコ・イーエックス社は、もともとソフトウェア開発などの請負を主とする企業ですが、自社の独自商品を作りたいという思いも長くもっていたそうです。
自社の技術を活かしつつ参入できるアイデアを探していたところ、それまでに培ったソフトウェア開発技術と相性の良い富士通の「患者見守り技術」に辿り着いたのだそうです。

同社の木田文二社長は「開放特許は特殊なものと考えているのではなく、あくまで自社が商品開発をする過程で足りない技術を補うための『一部品』のようなもの」とおっしゃいます。「開放特許を使うことで、すべての技術を自社開発する場合と比べてコストを削減できたことが大きなメリットだった」とも話しています。

自社技術も必要とされる

同商品は、基本技術として他社の開放特許技術を使いながらも、同社のソフトウェア開発技術も存分に活かされています。
例えば、赤外線カメラで撮影された画像をクラウド上に保管することで家族やケアマネージャーとも共有できるシステムは同社の開発技術あってのものです。

さらに、同社は工夫を凝らし、赤外線カメラを丸いフォルムにして慣れ親しんだ家電のような形状にしています。従来の監視カメラのような無骨なイメージを払拭して、病室に馴染むようにしたのだそうです。

商品化の際には必ず何らかの課題が発生し、それを解決する過程で新しいアイデアが生まれます。
開放特許は「一部品」という言葉に表されるように、開放特許を採用する過程でその技術が多様な発展をみせることもありそうです。特許を保有する企業の中だけでする商品開発とは一味違う魅力を感じました。

富澤 正

弁理士。当サイト『発明plus(旧:開発NEXT)』および同タイトルのフリーペーパーの編集主幹。
■経歴
知財コンサルタント。コスモス特許事務所パートナー。名古屋工業大学非常勤講師。
1980年愛知県生まれ。名古屋工業大学大学院修了。
特許業務の傍ら、知的財産の執筆活動・講演活動などを行う。自身の知的財産権を活かしてアイデア商品を作るベンチャー企業Time Factory株式会社を設立し、資格試験の受験生向けの商品などを手掛ける。
■専門分野
知財ビジネスマッチング、開放特許活用戦略、知財を活かしたビジネスモデル作り
■著書
『社長、その商品名、危なすぎます!』(日本経済新聞出版社)
『理系のための特許法・実用新案法』(中央経済社)
『理系のための意匠法』(中央経済社)
『理系のための商標法』(中央経済社)
■連載
『日経産業新聞』にて連載 (2017.5.12~20217.5.20)
『中部経済新聞』「みんなの特許」を毎週月曜日に連載中 (2014.4~現在)『サンケイビジネスアイ』「講師のホンネ」にて月1コラム連載 (2013.5~2014.1)
『日刊信用情報』にて「知財コンサルタント富澤正の「知的財産権を極める」」を週1コラム連載 (2013.9~2014.8)