知的財産の種

キャッチーな商品名は商標権、画期的なアイデアは特許権、デザインが優れていれば意匠権
新しい商品を考えた際には、知的財産として権利になる種はたくさんあります。

「そもそも権利を取る必要性はない」と言われてしまえばそれまでですが、せっかく作ったものが権利として認められ、独占して利益を確保できるのであれば取ってみたいと思うはずです。思いもしないところも権利の種はあるものです。

ファイナルファンタジーと特許

ゲームに関して有名な特許で、ファイナルファンタジーのアクティブタイムバトルというシステムがあります(特許第2794230号,H23年消滅)。
それまでのゲームのコマンド型のバトル(操作キャラクターがどのように行動するのかを選択肢から選ぶ形式)では、予め入力したコマンドに基づいて敵味方が順に攻撃をするという、いわゆるターン制のものがほとんどでした。
一方、アクティブタイムバトルでは参戦キャラクターごとに待機時間(ゲージ)が設定され、その待機時間を過ぎたキャラクターから順にコマンドの選択や行動が起こるという、より臨場感のあるバトルを楽しめるようになりました。このシステムはファイナルファンタジーの代名詞ともなり、シリーズは大きくヒットしました。

中にはアクティブタイムシステムの中に特許があったということに驚かれる方もいらっしゃるかもしれません。このトピックから何を伝えたいかというと「これは特許になるかもしれない」と気づいたことが勝負の分かれ目だったということです。
いまでこそ特許は消滅していますが、当時はもし特許をもっていなかったら他のメーカーにすぐに真似されていたかもしれません。バトルシステムに特許をとっていたというのも、ファイナルファンタジーのヒットに寄与していたことでしょう。

大切なのは「かもしれない」思考

アイデアは思いついた本人がこれは特許・商標になるかもしれないと考えることが大切です。なぜなら、アイデアの素晴らしさに一番初めに気が付くのは生み出した本人だからです。近くに「これは特許になるのではないか」とアドバイスをくれる人がいつもいるわけではない。「もしかしたら特許になるかもしれない・商標登録すべきかもしれない」という問を自身に投げかけることが重要なのです。ちなみに先に紹介した「アクティブタイムバトル」については商標登録もされていて(商標登録第4284948号)、こちらはまだ権利が維持されており、いまだに重要視されていることが伺えますね。

ビデオゲームを楽しむ子ども

開発者や企画者も「もしかしたら特許・商標になるかもしれない」という視点をもち、「これは?」と思ったときは知的財産の担当部署や特許事務所などに相談してみてください。思いがけない知的財産権を取得できるかもしれません。

富澤 正

弁理士。当サイト『発明plus(旧:開発NEXT)』および同タイトルのフリーペーパーの編集主幹。
■経歴
知財コンサルタント。コスモス特許事務所パートナー。名古屋工業大学非常勤講師。
1980年愛知県生まれ。名古屋工業大学大学院修了。
特許業務の傍ら、知的財産の執筆活動・講演活動などを行う。自身の知的財産権を活かしてアイデア商品を作るベンチャー企業Time Factory株式会社を設立し、資格試験の受験生向けの商品などを手掛ける。
■専門分野
知財ビジネスマッチング、開放特許活用戦略、知財を活かしたビジネスモデル作り
■著書
『社長、その商品名、危なすぎます!』(日本経済新聞出版社)
『理系のための特許法・実用新案法』(中央経済社)
『理系のための意匠法』(中央経済社)
『理系のための商標法』(中央経済社)
■連載
『日経産業新聞』にて連載 (2017.5.12~20217.5.20)
『中部経済新聞』「みんなの特許」を毎週月曜日に連載中 (2014.4~現在)『サンケイビジネスアイ』「講師のホンネ」にて月1コラム連載 (2013.5~2014.1)
『日刊信用情報』にて「知財コンサルタント富澤正の「知的財産権を極める」」を週1コラム連載 (2013.9~2014.8)