中国は特許出願数は世界一

国別の特許出願数をみると、2011年以降は中国が世界で一位であることをご存知でしょうか。
2015年度に中国国内にされた特許出願の数は約100万件で、日本の約30万件からしてもその多さがわかります。

中国国内への特許出願が多い理由の一つには近年の中国の経済規模の大きさもあります。
ある国に進出しようとする外国の企業は、その国で特許取得(または出願)をした状態で進出しようと考えます。日本国内にも数多くの海外企業が特許出願をしておりますが、巨大な経済市場となった中国に特許出願をする海外の企業が増えてきているのでしょう。

権利意識の高い中国の中小企業

中国の中小企業が知的財産に対する意識が高いことも、中国での特許出願の多さの理由のひとつでしょう。中国の企業は、小さな改良などでも積極的に特許出願をする傾向があります。
日本の企業であれば見過ごしたり、そこまでの発明でないと考えたりして出願をしないようなものでも、積極的に特許出願を行う企業が多いのです。

これまで日本の特許関係の仕事をしている人の中には、中国の企業が一見すると無戦略に多数の特許出願をすることに対して、技術レベルが日本よりも低いのに何をたくさん特許出願しているのかと冷ややかに見ていた面もあったかもしれません。
しかし、2011年以降、中国の特許出願の数が世界一になった前後から、中国国内の中小企業の技術レベルはどんどん上がっています。
特許出願の数が増えるということは特許の取得に対して競争が起こり、当然、技術のレベルも上がることになるからです。そして、仮に玉石混交の特許出願だとしても、相当の数があれば、その中にはレベルが高い発明も必ずあります。
特許出願の数だけみても、日本企業がうかうかしていられない状況だということが確認できます。

中国企業は日本に狙いを定めている

中国国内で特許出願をしていた中国の中小企業が、最近では日本にも特許出願をしている傾向があります。中国市場が大きいにも関わらず、日本にも狙いを定めているようです。

中国の中小企業が日本国内で特許権を持った場合には、日本の企業も当然その特許技術について日本国内で実施できなくなります。小さな改良についての特許であったとしても、その改良をした製品を作ることができなり、大きなマイナスとなります。
存外、見た目には些細な改良がユーザーにはウケたりするので、甘くは考えられません。

小さな改良だから特許を取れないだろうと考えるのではなく、自らも積極的に特許を取得してかなければなりません。特許競争は対岸の火事ではなく、ましては日本国内だけのことでもありません。
日本の技術力を守り、日本の企業が永続性を持って製品製造を行っていくためにも、特許権取得などの知的財産戦略の重要性が増しています。

狙いを定めている

富澤 正

弁理士。当サイト『発明plus(旧:開発NEXT)』および同タイトルのフリーペーパーの編集主幹。
■経歴
知財コンサルタント。コスモス特許事務所パートナー。名古屋工業大学非常勤講師。
1980年愛知県生まれ。名古屋工業大学大学院修了。
特許業務の傍ら、知的財産の執筆活動・講演活動などを行う。自身の知的財産権を活かしてアイデア商品を作るベンチャー企業Time Factory株式会社を設立し、資格試験の受験生向けの商品などを手掛ける。
■専門分野
知財ビジネスマッチング、開放特許活用戦略、知財を活かしたビジネスモデル作り
■著書
『社長、その商品名、危なすぎます!』(日本経済新聞出版社)
『理系のための特許法・実用新案法』(中央経済社)
『理系のための意匠法』(中央経済社)
『理系のための商標法』(中央経済社)
■連載
『日経産業新聞』にて連載 (2017.5.12~20217.5.20)
『中部経済新聞』「みんなの特許」を毎週月曜日に連載中 (2014.4~現在)『サンケイビジネスアイ』「講師のホンネ」にて月1コラム連載 (2013.5~2014.1)
『日刊信用情報』にて「知財コンサルタント富澤正の「知的財産権を極める」」を週1コラム連載 (2013.9~2014.8)