海外で簡単に真似される時代

クールジャパンブームや和食ブームと、海外から日本文化・技術が注目されるようになっています。SNSの台頭も相まって、一般消費者の発信をきっかけに商品が海外で爆発的にヒットするということも夢ではなくなりました。自社商品を持つ方々は、イマ、海外進出のチャンスともいえます。
一方で、来日観光客がSNSに投稿した商品が、海外で模倣されるという被害も増えてきています。日本の技術や文化を世界で守るためには、海外での知的財産権の扱いも重要となってくるのです。

現状、中小企業が日本国内で知的財産権を取得するケースは増加傾向にありますが、海外でまで知的財産権の取得を考えている企業は少ないように感じます。知的財産にまつわる制度の知識が少ないと、日本国内で権利を取れば大丈夫だと考えてしまうこともあるかもしれません。
日本国内で知的財産権を取得したとしても、その効力は日本国内にしか及びません。法律はその国ごとにしか機能しないため、海外で技術を守りたいと思ったときには、必要な国ごとに知的財産権の取得手続を取る必要があるのです。

外国出願の効果

外国で知的財産権が確保されていない場合、容易に商品を真似されてしまいます。権利がないということは、真似されても文句が言えないことを意味するからです。
労働力などの面で日本よりも優位な可能性のある海外で商品を守るなら、知的財産権について取得の出願をして知的財産権を確保する必要があるのです。

また、外国出願をすることのメリットは、真似をされないこと以外にもいくつかあります。
例えば、自社が直接海外へ進出しなくても現地の提携先へライセンス(許諾)して製造・販売をしてもらうこともできます。その他にも「現地での知名度が向上した」「国際取引のきっかけになった」など得られる効果は多いようです。

外国出願をコストダウンするには

外国出願をするには、書類の翻訳費用、現地の代理人費用、日本の弁理士の費用など、コストが高くなりがちです。外国出願を断念した経験のある中小企業の約50%は、費用が高額だったということであきらめています。
しかし、コストだけを理由に外国出願をやめてしまうのは、海外展開のチャンスを逃すことにもつながります。将来的にはデメリットの方が大きくなってしまうかもしれません。

実は、外国出願のコストを下げる方法がいくつかあります。例えば、次のようなものです。

  1. PCTに基づく国際出願で複数国に同時出願
  2. 外国出願の助成・補助制度の活用
  3. 国内の特許事務所、外国の特許事務所、翻訳会社などへの依頼を一本化

中小企業の海外展開に関する助成・補助制度の一環として外国出願のサポートプログラムがよういされていることもあります。このような制度を積極的に使って、海外でのビジネスチャンスをつかんでみてはいかがでしょうか。

富澤 正

弁理士。当サイト『発明plus(旧:開発NEXT)』および同タイトルのフリーペーパーの編集主幹。
■経歴
知財コンサルタント。コスモス特許事務所パートナー。名古屋工業大学非常勤講師。
1980年愛知県生まれ。名古屋工業大学大学院修了。
特許業務の傍ら、知的財産の執筆活動・講演活動などを行う。自身の知的財産権を活かしてアイデア商品を作るベンチャー企業Time Factory株式会社を設立し、資格試験の受験生向けの商品などを手掛ける。
■専門分野
知財ビジネスマッチング、開放特許活用戦略、知財を活かしたビジネスモデル作り
■著書
『社長、その商品名、危なすぎます!』(日本経済新聞出版社)
『理系のための特許法・実用新案法』(中央経済社)
『理系のための意匠法』(中央経済社)
『理系のための商標法』(中央経済社)
■連載
『日経産業新聞』にて連載 (2017.5.12~20217.5.20)
『中部経済新聞』「みんなの特許」を毎週月曜日に連載中 (2014.4~現在)『サンケイビジネスアイ』「講師のホンネ」にて月1コラム連載 (2013.5~2014.1)
『日刊信用情報』にて「知財コンサルタント富澤正の「知的財産権を極める」」を週1コラム連載 (2013.9~2014.8)