コラム
Column
発明plus プロジェクトリーダーの富澤正が中部経済新聞で連載する「モノづくりの窓口 みんなの特許」。その第75回「地域団体商標で地方ブランドを確立する」を紹介します。
中部経済新聞 平成29年8月28日 第7面
地方創生にも、知的財産権を活用することができます。地域で取り組んでいるモノ・サービスには、特許よりも商標制度が活用される場合の方が多いようです。
地域名が入った商標がブランドを形成し、地域振興・地方創生につながっていくのです。
地域名と商品・役務(サービス)名の文字のみから構成される商標は、産地やそのものを表すに過ぎない名称であるとして、通常の商標としての出願では審査でアウトになってしまいます。
そのような名称(商標)でも、一定の条件の下で商標権の登録ができるのが「地域団体商標」制度です。例えば地名の「草加」(群馬県)と商品の名称「せんべい」を合わせた「草加せんべい」などが地域団体商標として登録されています。
地域団体商標は一定の条件を満たす団体に対してのみ登録が認められています。
以前は、地域団体商標を登録できる団体は、当初は事業協同組合、農業協同組合、漁業協同組合等の組合に限られていましたが、平成26年からは、地域ブランドの普及の担い手となっている商工会、商工会議所及び特定非営利活動法人(NPO法人)まで、認められるようになりました。
最近では、一宮商工会議所(愛知県一宮市)の「一宮モーニング」が地域団体商標として登録され、話題になりました。
地域の団体が商標登録をするメリットは、無関係の者がその商標を使用することを排除できることにあります。
地域外の事業者が同じような名称で粗悪品をつくったり、既存の地域ブランドを無関係の商品に騙ったりといったことがしばしば行われていました。消費者は商品名・ブランドを見ていますので、意図しないものを購入したりすると、本来の地域ブランドの価値も下がってしまいます。
そんなとき、地域ブランドが地域団体商標として登録されていれば、無関係の者がそのブランドを騙って商品を販売したり、サービスを提供したりすることを排除することができます。
地域団体商標制度ができて約10年が経ちました。今後も、地域創生や事業者の拡大などでさらに需要が全国に広がっていくことでしょう。
中部地方では、平成29年8月1日現在、次の地域団体商標が登録されています。
参考: 特許庁 地域団体商標MAP
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