発明plus プロジェクトリーダーの富澤正が中部経済新聞で連載する「モノづくりの窓口 みんなの特許」。第76回「くまモンが成功した理由」のダイジェストをお送りします。

中経0904
中部経済新聞 平成29年9月4日 第7面

キャラクターを使った地域の広報活動

「くまモン」はご存知の通り、熊本県の有名なご当地キャラクターです。
熊本県は、くまモンの活用によって300億円以上の経済利益を生み出したといわれています。

そのくまモンのキャラクター使用料は原則無料であることは、ご存知でしょうか?

通常のキャラクタービジネスでは、キャラクターを使用した商品やサービスの売上につき3~5%程度のキャラクター使用料を権利者に支払うケースが一般的です。
対して熊本県は、くまモンのキャラクター使用料を原則無料とすることで、できるだけ広く使ってもらえるようにしました。
売上等からキャラクター使用料を支払う必要がないため、大きな事業者から小さな事業者まで、広く気軽にくまモンを活用することができたのです。結果、くまモンの知名度は上がり、熊本県から日本・世界と多岐にわたる経済効果を生み出したのです。

くまモンの知的財産管理

前述したとおり、くまモンのキャラクター使用料は原則無料ですが、使い方まで自由にさせているわけではありません。
粗悪品や、品位を落とすような商品が販売されるのを防ぐため、原則としてキャラクター使用は無料であるものの、使用は許可制になっています。つまり、熊本県(の所定の機関)の許可を受けなければくまモンを使うことはできません。
くまモンの商標権の所有者である熊本県は、その独占権(=商標権)に基づいて、他人によるくまモンの使用料から、使用の可否まで、自在にコントロールしています。

人気になる前から権利を意識する

キャラクタービジネスでは、そのキャラクターの知名度が増してくると問題が発生することもあります。
滋賀県彦根市のキャラクター「ひこにゃん」に関し、元々ひこにゃんを創作した著作者が「彦根のよいにゃんこ」というひこにゃんに似たキャラクターを作り、彦根市と彦根のよいにゃんこの作者で争ったことがあります。
最終的には、ひこにゃんの著作物に関する覚書が交わされ、和解が成立しましたが、一時は、問題を起こしたという面で話題になってしまいました。

問題が起こってから知的財産権を意識しても上手く立ち回れないこともあります。
キャラクタービジネス展開の当初から商標権を取得したり、著作権立証の証拠となる資料や契約を整理したり、と予め手を打っておくことが肝要です。

キャラクターのラフスケッチ

坂野明日香

主に補助金・クラウドファンディングの話題を担当。
ガジェットなど新しいモノや家電好き。鉄分が豊富(特にSL)。
某法科大学院を卒業して司法書士事務所へ就職、出産を経て、前職の特許事務所へ。
7年目を節目にコスモス国際特許商標事務所へ転職。