コラム
Column
「くまモン」は、熊本県の有名なご当地キャラクターです。熊本県はくまモンの使用によって300億円以上の経済利益を得たと言われています。
また、熊本地震が生じた際にもくまモンが全国で活動することで熊本地震について知ってもらう機会を増やすことができました。熊本地震の記憶の風化を防ぐことにもつながったといいます。ご当地キャラクターの力は、そのキャラクターがタレントのように活動することで広報活動を行ってくれることにあります。全国で様々なご当地キャラクターが生まれています。
「くまモン」成功の理由の1つとして、キャラクターの使用料を原則無料としたことがあります。一般的なキャラクタービジネスでは、キャラクターを使用した場合に売上の3%から5%を徴収することが多いです。それに対してくまモンは利用料を取らずに広く使ってもらえるようにしたことで、くまモンの採用のハードルが下がったのです。広く使ってもらうことでくまモンの知名度が上がり、結果、熊本県の広報にもつながりました。
しかしながら、使用料を徴収しないからといって、くまモンは完全に自由な利用を認めているわけではありません。ともすれば、粗悪品などのくまモンや熊本県の品位を落とすようなものに使われかねません。そのようなことを防ぐため、熊本県はくまモンの使用を許認可制にしています。
くまモンについての商標権や著作権を有する熊本県は、その権利に基づいて使用料の有無や許認可制を実現できます。知的財産の権利を活用してブランドとしての価値を保っています。
ご当地キャラクターを作り出したときには、それほどの人気が出るとは思わないこともあるかもしれません。
しかしながら、キャラクターを使うにつれ、問題も起こります。滋賀県彦根市のキャラクターの「ひこにゃん」は、元々の創作者が「彦根のよいにゃんこ」というひこにゃんに似たキャラクターの商品を作った例もあります。この事案では最終的に、法律関係をしっかり把握していた彦根市が有利に進めて和解に至っていますが、場合によっては問題が長引いた可能性もあります。
人気になってから考えるのではなく、あらかじめ権利関係や法律関係についても備えをしておくことが重要です。
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