中国の知的財産係争の判決例を紹介するシリーズ。今回は北京市高級人民法院(2015)高行(知)終字第1571号を紹介します。

判例の示唆

特許文献に記載される通常よく使われていない技術用語については、文献全体の全ての技術内容を全面的に考慮し、辞書、教科書等の道具及び本分野の公知常識と結合して、当該用語の文献における具体的な意味を解釈し、技術方案を明確に限定すべきである。

事件の概要

原告は、紙加工機を設計・製造する者で、そのうちの一部の構造は特許権を取得している。原告は、業界の展示会で被告製品を撮影して証拠収集を行い、同被告が原告の特許権を侵害したことを理由に、裁判所に訴訟を提起した。被告は、原告が提訴した特許権侵害訴訟に対応すると共に、原告の特許権に対して無効審判を請求した。

特許権侵害訴訟案件では、被告は裁判所に対して「原告には根拠として写真しかなく、実物の証拠品がない状況下で権利侵害を訴えているので、有力な証拠が欠如している」と指摘した。裁判所は、被告の主張を認め、原告の訴訟請求を却下した。
一方、特許無効審判での紛争点は、請求項1に記載される2つの部材は「固定連結」となっているのに対して、従来技術における対応する部材は「十字状の軸受」と記載されていることにある。

従来技術に公開された技術内容を評価する時、従来技術の全ての内容を考慮して当業者が閲覧して把握できる内容を確定しなければならない。従来技術に記載される「十字上の軸受」はその分野でよく使われている技術用語ではないものの、従来技術における対応する部材の構造、および実現しようとする目的や効果を考えると、当業者は従来技術を閲読すれば「十字上の軸受」の連結方式は固定連結に属すると理解できる。
また、機械の分野では、固定連結は最もよく用いられる連結方法であり、その分野の公知常識に該当する。それに加え、従来技術の「十字上の軸受」という連結方法を固定連結に変更しても、従来技術の技術効果に影響を与えることはない。よって、従来技術に基づいて、固定連結という技術常識を結合することで、請求項1の技術案を得ることは、当業者が容易に想到できるものであると結論づけられる。

北京市高級人民法院は、被告の意見を採用し、結審で原告の特許権は無効であるという判決を下した。
本案件から分かるように、「十字状の軸受」などの通常よく使われていない技術用語については、文献全体の全ての技術内容を全面的に考慮し、辞書、教科書等の道具およびその分野の公知常識と結合して、当該用語の文献における具体的な意味を解釈し、技術方案を明確に限定すべきである。

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