中国の知的財産係争の判決例等を紹介するシリーズ。今回は特許再審査員会 4W103931を紹介します。

概要

当該無効審判案件は、請求人が米国の被請求人の特許に対してした無効審判請求であり、最後に、特許再審査委員会は、無効審判請求人から提供した引用例の訳文に当該特許の技術方案が開示されていないと認定し、前期特許は全て有効であると宣告した。

経緯

無効審判の請求人は、大手の接ぎ手生産企業であり、2015年7月16日に米国の特許権者(被請求人)の特許に対して中国国家知的財産権局の特許再審査委員会に無効審判請求を提出した。

2015年12月16日、特許再審査委員会は口頭審理を行った。審理中、無効審判請求人が提出した引用例2の翻訳文の内容を被請求人は認めておらず、中国特許審査指南の第四部分第八章2.2.1の規定により、合議体に第三者を指定して改めて翻訳するよう要求した。合議体は当該要求を許可し、第三者を指定して引用例2を改めて翻訳した。

引用例2は本案件の決定的な証拠でありながら、1936年のドイツ語の文献であるために、その翻訳は非常に難しかった。第三者から提供された引用例2の翻訳文を受け取った後、2016年3月23日に、特許再審査員会は再び口頭審理を行った。審理中、無効審判請求人は第三者からの訳文の品質が悪いと主張し、逆に被請求人から提出された翻訳文を認めるとした。被請求人はその場で否定し、かつ審査で第三者からの訳文を基準とするよう要求した。合議体は被請求人の意見に同意した。
第三者からの翻訳文の品質が実に悪いので、合理的な技術方案になり難い。従って、無効審判請求人も有効な無効理由を提出することが難しかった。
最後に、合議体は、3月31日に無効審判の決定を出し、特許が全て有効である宣告をした。つまり、口頭審理からわずかに1週間で無効審判の決定が出され、弊所における無効審判の決定を受け取るまでの最短期間の記録を更新した。

教訓

本案件から分かるように、無効審判の手続に外国語の証拠が用いられることがあるが、審査指南における訳文に関する規則を活用し、訳文が不明確であったり翻訳に誤りがあったりすることを理由としても引用例の有効性を否定することができ、これによって特許権の有効性を維持することができる。

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