中国の知的財産係争の判決例等を紹介するシリーズ。今回は特許再審査員会 4W103434を紹介します。

特許無効審判

特許無効審判における進歩性判断のキーポイントは、技術方案に対する技術面からの分析にある。従来技術からの技術的示唆の有無につき、従来技術における電子回路の具体的な構造の開示が詳細であれば、客観的な技術原理に基づき、その技術効果と結果も客観的であることから、技術的示唆も客観的に存在するものと考えられる。

事案の概要

本案件は、華誠が請求人の依頼を受けて、被請求人の中国特許を対象とした一連の無効審判請求案件のうちの1件である。
本案件は進歩性を問題としており、その紛争点は、無効審判の対象とされる特許の請求項に記載の電子回路と従来技術によって開示された電子回路と比較したところ、出力部の位置が異なるとともに、出力される信号の波形も異なる、という点にある。
この紛争点に対して、華誠では、従来技術における電子回路の構成と動作原理について詳細な技術的分析をしたうえで、電子回路内の各ノードから出力される信号についての分析結果を口頭審理の際に特許審判委員会の合議体に提示し、下記のような主張で抗弁した。

従来技術における出力部の一および出力信号の波形は、請求項の記載と若干の相違があるものの、電子回路の構造を詳細に示す回路図と出力信号の特徴については、既に従来技術の中で開示されているため、当該電子回路の各ノードからどのような信号が発生するかは客観的なことであり、これは一種の客観的な技術的示唆である。電子回路の動作原理に基づき、当業者は所望の信号を取得したいときに、どのノードから抽出すればよいかを容易に知るものである。

特許審判委員会の合議体は華誠の意見を採用し、進歩性欠如を理由に本案件の特許の請求項は全部無効であるという無効審査決定を出した。

教訓

本案件から分かるように、電子回路関係の案件の場合、従来技術における電子回路の詳細な構造が明確になっている場合、客観的な技術原理に基づき、その技術効果も客観的であることになり、技術方案同士の間に外見上の相違があっても、客観的な技術効果は実質上の技術的示唆になることである。

華誠は、250名以上のエキスパートによる専門チームで編成された、中国の法律事務所・知的財産権代理会社です。広範囲・高品質のサービスの提供を堅持することで、中国トップクラスの専門家集団との評価をいただいております。
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