中国の知的財産係争の判決例を紹介するシリーズ。今回は上海市第一中級人民法院(2014)沪一中民五(知)初字第117号を紹介します。

案件の概要

本案件については、被告は、権利侵害被疑製品と本案件に係る意匠とが同一または近似していないことを主張するとともに、従来の意匠で抗弁した意匠権侵害訴訟である。審理の結果、被告の従来意匠の抗弁が認められないだけではなく、その提出した従来仕様の証拠は原告に引用され、その権利侵害が成立すると判定するのに対して重要な証拠となる。これは本案件の特別なところである。
本案件は「2015年度の中国での研究価値が最高の10件の知的財産権裁判例」の候補例の1つである。

訴訟のあらまし

原告は「内燃機関」の意匠の権利者であり、被告は、原告に意匠権侵害について提訴された後、1つの従来意匠を提出して、従来意匠抗弁を主張した。
まず、従来意匠抗弁に対して、原告は、従来意匠と侵害被疑製品の設計特徴を逐一対比して、両者間の数多くの相違点をまとめて、被告の従来意匠抗弁の主張を有力に反駁した。
原告は、侵害被疑製品と意匠権に係る意匠との近似性を対比するときに、被告が提出した従来意匠を利用して、侵害被疑製品が権利を侵害する理由を強化した。
三者の設計特徴を分解して、全体の視覚効果に顕著な効果を与えない設計特徴を分析して排除した後、本案件に係る意匠と従来意匠との「区別設計特徴」を見つけた。次に、重点的に「区別設計特徴」について、意匠権に係る意匠と侵害被疑製品の設計とを対比した。最後に、各設計特徴が全体の視覚効果に対する影響の程度を総合的に考慮して、「区別設計特徴」が極めて近似していることにより、2つの意匠が全体的に近似しているという結論を出した。
人民法院は、原告の主張を採択し、被告の権利侵害が成立するという判決を下した。

教訓

本案件の典型的な意味は、以下のとおりである。
本件は、「最高人民法院の特許権侵害係争案件の審理における法律適用の若干問題についての解釈」第11条の規定、即ち、「意匠権侵害分析において、従来意匠に基づいて「区別設計特徴」を確定し、さらに「区別設計特徴」を重点的に考慮することによって、侵害被疑製品と本案件に係る意匠とが近似しているか否かの結論を出す」という規定を適用したものである。

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