中国の知的財産係争の判決例を紹介するシリーズ。今回は北京市高級人民法院(2011)高民終字第3343号を紹介します。

事件の概要

本件は職務発明者が特許権者に特許権実施報酬を支払うよう求める典型的な事件である。
裁判所は関連製品に当該特許の請求項に記載された重要な化学成分がないという被告の抗弁を認め、被告は原告(発明者)に対して発明報酬の給付責任を負わないとの判決を下した。
本件において、華誠がクライアント(被告X)の代理人として提出した主張及び抗弁は、時間、社会、政策変更の試練を耐え抜いて、最終的に教典的過去判例として、最高級人民法院の裁判官である羅東川氏の2015年10月に出版された「職務発明の権利帰属及び奨励・報酬紛争に関する典型的事件の精選及び解説」に選出された。

事件の経緯

原告は被告Aの職員であり、1990年代に被告A,B及び被告Xが共同で行ったワイヤーの技術の研究開発に参加し、三被告の技術的条件を利用して同技術の発明作業を完成させた。原告は、「三被告は1994年に研究開発したワイヤー技術の特許権を取得し、被告Xは当該技術成果を製品に転化し、巨大的な経済利益を獲得したので、三被告は特許権者として連帯して責任を負い、原告に対して特許権実施報酬を支払わなければならい」と主張した。
当該技術は1990年代初期に発明されたものである。本件の判決まで中国の関連の特許報酬制度は未だ明確化されておらず、特許権者は自社の職員ではない職務発明者に対する奨励について連帯して責任を負うか否か、製品と特許権の保護範囲との関係などについては、いずれも明確的な規定がなかった。
華誠は本件の依頼を受けて検討した上、被告Xの製品には、請求項に記載された必要な技術特徴である元素αを使用していないことを発見した。そこで、当該技術は実施されていないという抗弁主張を提出した。それと共に、原告は被告Xの職員ではなく、双方の間には如何なる労働関係はないとも強く主張した。裁判所は当方の主張を採用し、原告の訴訟請求を棄却して被告Xは原告に対して発明報酬の給付責任を負わないという判決を下した。

教訓

本件では、職務発明がは実施されたか否かは、製品が関連の特許の請求項に記載される全ての技術的特徴を備えているかどうかによって判断されるものであることが明らかになった。

華誠は、250名以上のエキスパートによる専門チームで編成された、中国の法律事務所・知的財産権代理会社です。広範囲・高品質のサービスの提供を堅持することで、中国トップクラスの専門家集団との評価をいただいております。
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