中国の知的財産係争の判決例を紹介するシリーズ。今回は北京知識産権法院(2015) 京知民終字第2119号を紹介します。

事件の概要

これは悪意により商標をストックした商標権者によって提起された商標権侵害訴訟である。裁判所は標識自体の外観形態、被告の実際の使用状況、フリーライドの意図の有無、及び公衆の認知等を総合的に考慮し、被疑標識と係争商標とは類似を構成しておらず、混同されにくく、被告は侵害していないと認定した。
本件は2015北京市裁判所知的財産権司法保護の「十大革新的案例」に入選した。

事件の経緯

原告は、商標譲渡ウェブサイトの大手事業者であり、第25類の「服装、靴、帽子」等の商品を指定した中国登録商標Xの専用権を取得している。被告は、華誠のクライアントでもある日本の事業者である。
原告は、登録商標Xを使用した服飾製品を製造・販売したことを理由として、裁判所に被告を訴えた。中国商標法の規定によると、商標登録者の許諾を得ずに、同種類の商品に登録商標と類似する商標を使用することは、商標専用権に対する侵害に該当するとされているため、被告は非常に不利な立場にある。
華誠は被告の依頼を受けた後、大量の証拠を収集・整理し、双方の商標は類似しているか否か、消費者に混同誤認させるか否か、被告の善意的使用及び原告の悪意による訴訟等について詳しく説明した。
最終的には、裁判所は被疑侵害標識(被告が使用した商標)と係争商標(登録商標X)とは商標法上の類似を構成しておらず、混同されにくく、被告は侵害していないと認定した。

教訓

北京市高級人民法院は本件の革新性について次のように評価した。
本件は典型的な商標権侵害紛争事件である。裁判所は旧商標法を適用して審理を行ったが、新しい商標法の立法趣旨に基づき、標識自体の外観形態、係争商標の実際の使用状況、被告のフリーライドの意図の有無、及び公衆の認知等の視点から全面的に、総合等的に考慮し、最終的には、被疑侵害標識と係争標識とは商標法上の類似を構成しておらず、混同されにくく、被告は侵害していないと認定した。
本件は、悪意により商標をストックする・信義が欠如しているなど、現在発生している現象を一定程度で反映している。本件の審理は、法律効果と社会効果の双方を総合的に考慮し、当事者が自身の行為を規範化することに役立ち、商標市場全体の規範的な経営に対しても指導となりうる。

華誠は、250名以上のエキスパートによる専門チームで編成された、中国の法律事務所・知的財産権代理会社です。広範囲・高品質のサービスの提供を堅持することで、中国トップクラスの専門家集団との評価をいただいております。
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