コラム
Column
私たち弁理士は特許庁への知的財産に関する手続の代理を主な業務としています。
弁護士や税理士など、士のつく資格業(士業)はいくつかあります。そのなかには、弁理士のように行政機関や司法機関への手続の代理を主な業務とするものもあります。
そのような手続の代理業務ですが、未来、AIに取って代わられるのではといわれています。
9月25日の日本経済新聞 朝刊にショッキングな記事がありました。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO21422780S7A920C1TCJ000/
この記事では、士業のAIによる代替可能性について記載されていました。
代替可能性の低い方から、
(9月25日 日本経済新聞より)
弁理士は、税理士に次いでAIによる代替可能性が高いという結果に驚かされました。
特許出願の内容は特許庁によって公開されます。毎年約30万件の特許出願が公開されています。
この膨大な情報から目的の情報を探索したり、分類したり、といったことはその量からいっても人手では大変です。そのため、特許情報の分析という分野では従来からAIの活用が進められてきました。
一方で、特許出願の書類を作成する肝は、特許請求の範囲の作成です。これは「どの部分が発明か」を特定することによって、権利範囲を定義するものです。
そして発明とは「新しいもの」です。世の中に知られていないものでなければ特許要件の欠如として特許を受けられないからです。
新しいものを定義するということは、既存の特許公報だけから学習したAIが特許請求の範囲を作成するのは容易なことではないと思われます。
誰も知らないことを定義する。しかも権利範囲が最大化するように定義する。このような点では、弁理士の仕事はAIにすぐに取って代わられるということもなさそうです。
とはいえ、それなりの特許出願書類を作成できるAIが登場する日もいずれ訪れることでしょうし、手続代理業務に留まらず、特許などの知的財産制度を活用した新しいビジネスに我々弁理士も動いていかなければならないと感じています。
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