私たち弁理士は特許庁への知的財産に関する手続の代理を主な業務としています。
弁護士や税理士など、のつく資格業(士業)はいくつかあります。そのなかには、弁理士のように行政機関や司法機関への手続の代理を主な業務とするものもあります。
そのような手続の代理業務ですが、未来、AIに取って代わられるのではといわれています。

9月25日の日本経済新聞 朝刊にショッキングな記事がありました。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO21422780S7A920C1TCJ000/

この記事では、士業のAIによる代替可能性について記載されていました。

代替可能性の低い方から、

  1. 中小企業診断士 … 0.2%
  2. 弁護士 … 1.4%
  3. 司法書士 … 78.0%
  4. 弁理士 … 92.1%
  5. 税理士 … 92.5%

(9月25日 日本経済新聞より)

弁理士は、税理士に次いでAIによる代替可能性が高いという結果に驚かされました。

特許出願の内容は特許庁によって公開されます。毎年約30万件の特許出願が公開されています。
この膨大な情報から目的の情報を探索したり、分類したり、といったことはその量からいっても人手では大変です。そのため、特許情報の分析という分野では従来からAIの活用が進められてきました。

一方で、特許出願の書類を作成する肝は、特許請求の範囲の作成です。これは「どの部分が発明か」を特定することによって、権利範囲を定義するものです。
そして発明とは「新しいもの」です。世の中に知られていないものでなければ特許要件の欠如として特許を受けられないからです。

新しいものを定義するということは、既存の特許公報だけから学習したAIが特許請求の範囲を作成するのは容易なことではないと思われます。
誰も知らないことを定義する。しかも権利範囲が最大化するように定義する。このような点では、弁理士の仕事はAIにすぐに取って代わられるということもなさそうです。

とはいえ、それなりの特許出願書類を作成できるAIが登場する日もいずれ訪れることでしょうし、手続代理業務に留まらず、特許などの知的財産制度を活用した新しいビジネスに我々弁理士も動いていかなければならないと感じています。

富澤 正

弁理士。当サイト『発明plus(旧:開発NEXT)』および同タイトルのフリーペーパーの編集主幹。
■経歴
知財コンサルタント。コスモス特許事務所パートナー。名古屋工業大学非常勤講師。
1980年愛知県生まれ。名古屋工業大学大学院修了。
特許業務の傍ら、知的財産の執筆活動・講演活動などを行う。自身の知的財産権を活かしてアイデア商品を作るベンチャー企業Time Factory株式会社を設立し、資格試験の受験生向けの商品などを手掛ける。
■専門分野
知財ビジネスマッチング、開放特許活用戦略、知財を活かしたビジネスモデル作り
■著書
『社長、その商品名、危なすぎます!』(日本経済新聞出版社)
『理系のための特許法・実用新案法』(中央経済社)
『理系のための意匠法』(中央経済社)
『理系のための商標法』(中央経済社)
■連載
『日経産業新聞』にて連載 (2017.5.12~20217.5.20)
『中部経済新聞』「みんなの特許」を毎週月曜日に連載中 (2014.4~現在)『サンケイビジネスアイ』「講師のホンネ」にて月1コラム連載 (2013.5~2014.1)
『日刊信用情報』にて「知財コンサルタント富澤正の「知的財産権を極める」」を週1コラム連載 (2013.9~2014.8)