外国出願支援事業の募集期間は約1か月です。募集開始から準備しても間に合わないこともありますので、外国出願支援事業への申請する前にしておくことをまとめました。なお、この記事は昨年までの愛知県の募集を参考にして作成しています。

  • 基礎となる国内出願(特許・実用新案・意匠・商標)
  • PCT国際特許出願

基礎となる国内出願

愛知県の平成29年度の募集要項によれば、日本国特許庁に対して特許出願・実用新案登録・意匠出願・商標登録出願を行っていることが要件とされています(他の都道府県でも同様)。

特許

早期審査制度を利用することにより、外国出願に着手する前に日本国内で特許を取得することも可能ですから積極的に活用しましょう。

意匠

優先期間が短い(6ヶ月)ので国内出願のタイミングには注意が必要です。

商標

マドリッドプロトコルに基づく商標の国際登録出願(以下、マドプロ出願)を利用したい場合は、セントラルアタック(国際登録日から5年以内に基礎出願等が失効したことによる消滅)のリスクに注意しましょう。日本での商標登録出願が拒絶された場合、国際登録の全部又は一部が取り消されることになりますから、外国出願支援事業の審査ではそのようなリスクを抱えた案件として厳しく評価されることになるでしょう。
そのため、外国出願支援事業の利用を検討されている場合は、日本国内において先に商標登録を受けておくことをお勧めしています。

なお、マドプロ出願要件は、日本国特許庁において既に商標出願または商標登録がされていることとされていますので、日本国内で出願中の段階でもマドプロ出願をすることは可能です。

PCT国際特許出願(国内段階)

国際調査報告書・国際調査機関の見解書を入手

PCT国際特許出願をすると、国際調査報告・国際調査機関の見解書が作成されます。
この国際調査報告・国際調査機関の見解書は、外国出願助成金の審査の際に必要とされる場合がありますので、早めにPCT国際特許出願を済ませておくことをお勧めしております。
国際調査機関の調査用写しの受領から3か月又は優先日から9か月いずれか遅く満了する期間までに作成するものとされています。

優先権の主張を伴わないPCT国際特許出願(ダイレクトPCT)の場合

国際調査報告・国際調査機関の見解書は出願日から9か月以内に作成されます。
例:5月に外国助成金を申請する場合 → 前年の9月頃にPCT国際特許出願を済ませる。

優先権の主張を伴うPCT国際特許出願の場合

国際調査報告・国際調査機関の見解書は、国際調査機関の調査用写しの受領から3か月又は優先日から9か月以内のいずれか遅く満了する期間までにに作成されます。
例:5月に外国出願助成金を申請する場合

(1) 国内出願(優先日)から9か月以降にPCT国際特許出願をした場合
国際調査報告・国際調査機関の見解書は、PCT国際特許出願をした日からおよそ半年程度(国際調査機関の調査用写しの受領から3か月以内)で作成されます。
遅くとも前年の11月頃にはPCT国際特許出願を済ませましょう。
(2) 国内出願(優先日)から9か月以内にPCT国際特許出願をした場合
国際調査報告・国際調査機関の見解書は、国際調査機関の調査用写しの受領から3か月又は優先日から9か月以内のいずれか遅く満了する期間までにに作成されます。
遅くとも前年の8月頃にはPCT国際特許出願を済ませましょう。

PCT国際特許出願(国内段階)の経費は助成対象外

日本の特許庁へのPCT国際特許出願時に係る費用

  • 国際出願手数料
  • 送付手数料
  • 調査手数料
  • 代理人費用

これらの費用は、外国出願支援事業の助成対象になりませんので、資金計画についても検討してください。

※前述のように「国際調査報告・国際調査機関の見解書」が審査段階で提出を求められる場合がありますので、外国出願助成金を申請する前にPCT国際特許出願を実行して、国際調査報告・国際調査機関の見解書を入手しておく必要があります。つまり、そもそも助成決定前に着手していますから、助成金の対象外と考えるとイメージがつかみやすいかもしれません。

参考資料

助成対象となる出願:
日本国特許庁に対して特許、実用新案、意匠、商標出願を行っており、同一の内容の出願を助成決定後、平成30年1月22日までに、優先権主張(商標を除く)して外国特許庁へ出願するもの(PCT出願に基づく国内移行及びマドプロ出願・ハーグ協定に基づく出願を含む)
助成対象外経費:
国内出願費用、日本国特許庁へのPCT出願費用(国際出願手数料、国際調査手数料、送付手数料、優先権証明願、予備審査手数料、日本国特許庁への国内移行手数料等)、日本国特許庁への国際商標登録出願の手数料、前述の費用に係る弁理士費用等。
(平成29年度愛知県外国出願助成金募集要項より)

坂野明日香

主に補助金・クラウドファンディングの話題を担当。
ガジェットなど新しいモノや家電好き。鉄分が豊富(特にSL)。
某法科大学院を卒業して司法書士事務所へ就職、出産を経て、前職の特許事務所へ。
7年目を節目にコスモス国際特許商標事務所へ転職。