連載前回では、自分を見つめ直して発明に対する姿勢を固めることをお伝えしました。
今回は、いよいよ発明の方向性を定めるステップです。

ステップ2 アイデアの方向性

発明をしよう!と思っても発明(アイデア)にはさまざまな形があります。モノ、サービス、ビジネスモデル、デザイン、ネーミングなど、考え出せるものはすべて発明です。
特許の取得を見据えるなら技術的なアイデアであることを前提に「物の発明」「方法の発明」「物を製造する方法の発明」です。意匠権なら物品のデザイン、商標権ならネーミングやロゴなどです。もちろん、知的財産権の取得にとらわれずに生み出されるアイデアというものも存在するでしょう。

発明というのは言い換えれば「課題の解決」という側面があります。課題が見えていれば、その解決の方法からどのような発明をするのかが見えてきます。
日常の不便を解消するための技術的な発明、商品の見た目をよくするためのデザイン、サービスの認知度を高めるためのネーミング、などです。
とくに自分のバックグラウンドから見出される課題については、ご自身が解決に向いているテーマになるかと思います。日常の何気ないシーンに目を向ければ、解決したい課題や、新たなアイデアが見つかるかもしれません。

具体的に発明を進めるにあたっては、何を「課題」として、どんなものを「発明」しようとしているのか、方向性をある程度は定めておきましょう。

ステップ3 発明に勉強は必要か

発明をするには様々な知識が必要と思われるかもしれません。確かに新しいモノを生み出そうとしているのですから、それなりの知識は必要でしょう。
ただ、さまざまなことを自身で勉強しようとするのは時間も必要ですし、本来の目的の発明に辿り着くのが遠のいてしまいます。

それよりも、連載前回で振り返った自身のバックグラウンドから、協力してくれる人を探すことも手だということを考えてみましょう。必ずしも自身ですべての知識を持つ必要はなく、頼れるところは他人に頼ればよいのです。
また、プロを探すというのも良い方法です。例えば知的財産権取得の手続は個人でもできるものですが、弁理士や特許事務所といった専門家がいます。費用はかかりますが、わざわざ自分でややこしい制度を調べて書類を作成したりするよりも、手間は減らせるでしょう。また、プロからその分野視点のアドバイスを得られるというメリットもあるかもしれません。

そうして協力を得ることを考えた上で、発明の中核であったり、協力を得られなかったりする重要な部分について、もし自分の知識が足りないようならその勉強をするべきでしょう。
また、「知識」と書いてしまいましたが、協力者や発明仲間、その他のさまざまな場でプラスになるコミュニケーションをとることも、発明の準備として必要なことです。

ステップ4 資金調達

発明は本人の努力も重要ですが、費用もかかります。そんなときに使えるものを2つ紹介したいと思います。

補助金・助成金

国や自治体・行政機関がさまざまな名目で資金を支援する制度です。発明に関するものでも、ものづくりや外国出願など、いくつかの制度が設けられています。
助成金・補助金は心強い制度ですが、支援を受けるためには申請手続をして審査に通ることが必要です。発明plusを運営するコスモス特許事務所でも補助金申請の支援サービスを行っていますので、ご検討されている方はご相談ください。

クラウドファンディング

インターネットを通じて商品開発などの資金を募集するクラウドファンディングが普及しています。クラウドファンディングは、資金調達が直接の目的ではありますが、それ以外にも大きな効果が2つあります。
1つは、発売前の段階でインターネット上の評価を集められるのでマーケティングの役割も果たせます。もう1つの効果として、盛り上がるプロジェクトや一般ユーザーやバイヤーに多く閲覧されるのでプロモーションにもなります。
新しくて面白いものを探しているような商品販売のバイヤーもクラウドファンディングをチェックしており、次のヒット商品の販売権を狙っているということもあるようです。
個人レベルでマーケティングやプロモーションをするとなると難しい面もありますが、クラウドファンディングではこれらの効果を得ることができます。

9人のアイデアマン

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富澤 正

弁理士。当サイト『発明plus(旧:開発NEXT)』および同タイトルのフリーペーパーの編集主幹。
■経歴
知財コンサルタント。コスモス特許事務所パートナー。名古屋工業大学非常勤講師。
1980年愛知県生まれ。名古屋工業大学大学院修了。
特許業務の傍ら、知的財産の執筆活動・講演活動などを行う。自身の知的財産権を活かしてアイデア商品を作るベンチャー企業Time Factory株式会社を設立し、資格試験の受験生向けの商品などを手掛ける。
■専門分野
知財ビジネスマッチング、開放特許活用戦略、知財を活かしたビジネスモデル作り
■著書
『社長、その商品名、危なすぎます!』(日本経済新聞出版社)
『理系のための特許法・実用新案法』(中央経済社)
『理系のための意匠法』(中央経済社)
『理系のための商標法』(中央経済社)
■連載
『日経産業新聞』にて連載 (2017.5.12~20217.5.20)
『中部経済新聞』「みんなの特許」を毎週月曜日に連載中 (2014.4~現在)『サンケイビジネスアイ』「講師のホンネ」にて月1コラム連載 (2013.5~2014.1)
『日刊信用情報』にて「知財コンサルタント富澤正の「知的財産権を極める」」を週1コラム連載 (2013.9~2014.8)