コラム
Column
こんな商品やサービスがあったらというアイデアがあって発明する場合がほとんどですが、「自分で発明をしてみたいな」思い立っということもあるかもしれません。
今回は、発明しようと思ってもどんなものがいいのかと悩む人のために、発明のアイデアを出すきっかけについて書きたいと思います。
以前の連載にも書きましたが、発明とは課題を解決するものです。そうなると発明の出発点は課題を探すことから始まります。
より影響力のある発明をしたければ、社会にある課題…ニーズを知りましょう。広く社会に求められる発明であれば、普及によって成功する可能性が高まるからです。どれだけ画期的なアイデアを出したとしても、社会にニーズがなければビジネスとして成功させるのは難しくなります。
ここからは、社会的課題を4つ挙げて、それぞれどのような発明が可能かを考えてみたいと思います。
日本でも、ヒートアイランド現象やごみ問題などの環境課題があります。ごみ問題などは地方の自治体で取り組んでいるケースが多いので、リサイクルやエコなどをテーマとした発明が考えられます。
リユース、リデュース、リサイクルの3Rという言葉に代表されるように、エコというものは現在の商品のアピールポイントではお客様の目を引く大きなポイントになっていることは間違いないでしょう。
ただ、エコやリサイクルという事ばかりを優先してしまったために、商品の原価が競合する既存のものよりもあまりにも差がでてしまうようでは、価格の面で普及が難しくなってしまいます。製造コストを抑えつつエコやリサイクルを実現するような発明、なんていかがでしょうか。
他にも、自然破壊、放射能汚染、生物多様性、地球温暖化、気候変動、異常気象、CO2排出などの問題も挙げられます。「エコ」な発明をしたいと考えるなら、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が発表している環境変化の動向を参考にテーマを考えてみるのもよいかもしれません。
昨今のニュースでも頻繁に流れてくるのが待機児童の問題です。保育園や幼稚園が不足する現状、例え自治体が園の数を積極的に増やし、待機児童を改善しても、すぐにそのような自治体に人が集中し、待機児童が生まれるという負のスパイラルも発生しているようです。こうした背景から、柔軟に対応できる児童の教育支援サービスが求められています。
子どもたちを安心して守れるサービスや商品のアイデアには、ニーズが高まっていると言えそうです。
文化的な面では、超高齢化による後継者問題が顕著です。
日本の伝統的な芸術やものづくりもその技術を伝承することができなければ、その技術は消えゆきます。高齢の職人には自ら後継者を探すほどの余力のない方もみえます。
そこで、例えば人材をマッチングするサービスやシステムの発明はいかがでしょう?文化的側面から社会に大きく貢献できる発明として受け入れられる可能性があります。
伝統とは保守的なものと考えられることもありますが、根幹の部分は守りつつも、周辺の部分については新しいことを取り入れていく余地は大いにあると思いますし、そうした事例も多くあります。
労働の課題では、働き方改革が昨今のメインテーマでしょう。従来の型にとらわれない自由な働き方が求められています。
時間や場所に捕らわれずに仕事のできるツールやサービスの発明などはもってこいでしょう。最近ではモバイルアクセスやコワーキングスペースなどが既に普及していますが、まだまだアイデアは眠っている分野だと思います。
ワークライフバランスの観点から言えば、作業効率を上げて時間外労働を減らすというのも、長らく存在する課題と言えそうです。
社会的課題に取り組む組織にNPO法人(非営利団体法人)があります。NPO法人は20のカテゴリーに分けられており、このカテゴリーから社会の課題やあなたのアイデアが見えてくるかもしれません。
(内閣府 Web サイトより)
あなたが感じる課題、特に社会に存在する課題についての発明は成功する可能性が高まります。身近に感じた課題やそのアイデアは、社会的などのような課題と結びつくのか、考えてみましょう。
発明によってどのような課題を解決できるのか、どのようなメリットがあるのか、をアピールすることも、発明家として成功するために重要なことです。
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