2月末「「不正競争防止法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました」と経済産業省からの発表がありました。

改正案には規格制度の充実や中小企業の知財活用促進、知財手続の適正化など、いくつかの改正点が盛り込まれていますが、その中には「データの保護」に関する点に注目しました。
最近では、人工知能というキーワードを一般にもよく聞くようになりました。人工知能に用いる機械学習では、ソフトウェア(プログラム)よりも、学習に用いる「データ」が重視されることがあります。より多くのデータをコンピューターに与えることで、より精度の高い人工知能を実現できるからです。
ビッグデータやデータサイエンスといった分野にも同じようなことが言えます。高度な統計技術などを用いてデータから意味を見出す分野ですが、そもそも分析する対象のデータが十分にあることが前提にあります。
ITの先進的な分野では「データ」の重要性が高まっています。

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このように技術的な面からも重要性が高まっているデータですが、いまは保護制度が十分でないという面があります。
データは特殊な例を除けば特許の対象になりませんし、もちろん実用新案・意匠・商標として登録することもできません。データベースであれば著作権での保護も考えられますが、単純に大量のデータを集めただけでは著作権上はデータベースと呼べず、著作物とはみなされません。しかしながら、人工知能やデータサイエンスに用いるデータは、単純にデータを集めたものであることも少なくないのです。
法的な保護が確保されていないので、安心してデータを集めて利用したり、他人にデータを提供したり、といったことが躊躇われます。

今回の法改正案では、不正にデータを入手することが不正競争行為に追加されたり、弁理士の業務にデータ利活用に関するものを含めたり、といったことが盛り込まれています。例えば、せっかく集めたデータを盗むような行為については不正競争防止法で対抗できますし、データの貸し借りに関する契約の際に弁理士のサポートを受けられるようなことが考えられます。
この改正案は現在開会中の通常国会に提出される見込みです。
データを持つ者が勝つ世界とも言われます。データの利活用、ひいては高度先進の情報技術の普及によって、一層の産業の発達が期待されます。

後藤 英斗

弁理士。発明plusの外部ライター(IT系担当)。プログラミング大好き。
IPA ネットワークスペシャリスト、セキュリティスペシャリスト。