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補助金という資金調達

仕入販売や受託生産を生業とする中にも、最終的には自社商品を開発・販売したいとお考えの企業は少なくないようです。

自社商品の開発ともなると、高い壁となるのが開発資金の調達です。商品開発には時間も労力も経費もたくさんかかりますので、それなりの資金を準備する必要があります。資金調達で最初に思いつくのは銀行からの融資、そして最近では一般からの投資を募るクラウドファンディングなどもあるでしょう。
他にも目を向けてみると、助成金補助金といった手段もあることはご存知でしょうか。助成金や補助金は、銀行からの融資とは異なり返済不要なので、個人や中小企業でも活用しやすいといった特徴があります。
補助金は、事業経費の一部について支援をうけられる制度で、事業に関するものは、経済産業省や特許庁、中小企業庁などが実施しています。補助金を受けるには、どう事業が活性化し、どのくらい社会に役立つかということを示して、審査で選定(採択)される必要があります。なお、補助金の対象事業に採択されたとしても、一般的に支払った経費等に対する給付となるため、いったんは支払いができるだけの自己資金の準備も必要であることには注意してください。
補助金を受けられることを条件に融資を行うという銀行もありますので、銀行融資と組み合わせて利用するのもいいですね。
平成26年から「新ものづくり補助金」が始まり、対象業種が従来の製造業だけでなく商業やサービス業にも広がりました。IT関連の開発に関しても補助金の申請ができるようになりました。

助成金は、受給要件を満たしていれば、原則、用途問わずに金銭的支援を受けられるものです。一般的に金額は補助金に比べると少ないですが、用途の自由度が高いのが特徴です。厚生労働省が管轄する労務関係のものが多いのですが、雇用に関するものも中にはありますので、商品開発に際して人を雇う必要があれば検討してみるとよいでしょう。「ものづくり」というキーワードだけで単眼的に考えるのではなく、複眼的に考えることが大切です。

公益財団法人あいち産業振興機構の「創業プラザあいち」や、公益財団法人名古屋産業振興公社の「新事業支援センター」、または各地域の商工会議所などでは、補助金や助成金の相談を受けていますので、気になる方は一度足を運んでみてください。

申請においても事業計画が幹となる

補助金や助成金といった制度を上手く活用している企業に共通するのは、「事業計画をしっかり作っていること」だといいます。銀行融資もそうですが、補助金・助成金を申請をする際、事業計画があらかじめ文章化されていると、そこから申請にあわせて、枝葉を付けるだけで必要な書類を完成できます。申請のためだけに慌てて作ったものよりも中身が充実し、審査にも通りやすい傾向にあるようです。

開発者は「良い商品を作れば売れるはずだ」と過信しがちです。しかし、商品を開発したが、いざ売り始めてみると、販路を確立できなかったり、ユーザーに選ばれなかったりという話をよく耳にします。自社の価値や資金状況、商品の市場、製造原価などを把握した上で、企画・開発から販売まで、あらかじめ事業計画を作り込んでおくことが、「良くて売れる商品」を開発することにも繋がるのです。

富澤 正

弁理士。当サイト『発明plus(旧:開発NEXT)』および同タイトルのフリーペーパーの編集主幹。
■経歴
知財コンサルタント。コスモス特許事務所パートナー。名古屋工業大学非常勤講師。
1980年愛知県生まれ。名古屋工業大学大学院修了。
特許業務の傍ら、知的財産の執筆活動・講演活動などを行う。自身の知的財産権を活かしてアイデア商品を作るベンチャー企業Time Factory株式会社を設立し、資格試験の受験生向けの商品などを手掛ける。
■専門分野
知財ビジネスマッチング、開放特許活用戦略、知財を活かしたビジネスモデル作り
■著書
『社長、その商品名、危なすぎます!』(日本経済新聞出版社)
『理系のための特許法・実用新案法』(中央経済社)
『理系のための意匠法』(中央経済社)
『理系のための商標法』(中央経済社)
■連載
『日経産業新聞』にて連載 (2017.5.12~20217.5.20)
『中部経済新聞』「みんなの特許」を毎週月曜日に連載中 (2014.4~現在)『サンケイビジネスアイ』「講師のホンネ」にて月1コラム連載 (2013.5~2014.1)
『日刊信用情報』にて「知財コンサルタント富澤正の「知的財産権を極める」」を週1コラム連載 (2013.9~2014.8)