コラム
Column
今回は、会社の母子手帳ともいえる起業ガイドブック「創業手帳」を日本全国の創業したての企業に無料で届ける株式会社創業手帳の大久保幸世社長に話を伺いました。株式会社創業手帳は月に15,000部の「創業手帳」を発行するとともに、全国の創業前後の起業家のコンサルティングを月100社以上行う創業のプロフェッショナルです。
「毎日多くの起業家と接して感じるのは、近年はスマートフォンの普及により、トレンドとしてシェアリングエコノミーを扱う創業企業が増えている」といいます。
シェアリングエコノミーに関するビジネスは、乗り物・住居・家具・衣服など、個人が所有する物の他人への貸し出しを仲介するサービスが大半です。スマートフォンなどによってコミュニケーションが発達した今、物は所有するのではなく、必要な時に借りるという意識が広まってきていることに因るといいます。
有名なところでは、タクシーに加え、一般の人も自家用車を他人に貸し出す「ライドシェア」と言われる配車サービスを行うのUber(ウーバー)が、アメリカを中心に利用者を増やしています。同サービスでは、利用者が、スマートフォンの専用アプリを使って、近くにいる色々な会社のタクシーや他人の車に乗車することができ、低コストで一番良い条件のよい移動を提供します。
そして、シェアリングエコノミーは既存のビジネスを持っている企業に新しいチャンスがあるといいます。
例えば、会議室やレンタルスペースをシェアするスペイシーというサービスがあります。このサービスを提供する株式会社スペイシーは、元は太陽光発電事業を行う会社だったそうです。再生可能エネルギーのブームも追い風となって業績が順調に伸び、従業員や用地も多くなった時にそのブームが去ったそうです。ブームが去って従業員が少なくなった時、広い場所だけ余ったのです。その時に広い場所を有効活用するためのレンタルスペースを始めたそうです。このレンタルスペースの事業が上手くいき、本格的な事業として成立しました。ピンチをチャンスに換えた事例です。
貸会議室に限らず、既存のビジネスを持っている事業者であれば、なにかしら余剰なものがあるのではないでしょうか。その余剰財産をシェアするという発想でまったく新しいビジネスが見えてくるのではないかと感じました。
また、大久保氏は開放特許の知財ビジネスマッチングもシェアリングエコノミーの1つだと話します。開放特許モデルでは、自社で活用しきれていない特許技術を、それを使いたい他人に貸し出すことになります。まさにシェアリングエコノミーの一種です。
私自身はこれまで開放特許に取り組む中で「シェアリングエコノミー」という言葉を意識はしたことなかったのですが、先に紹介した「既存のビジネスを持っている事業者であれば、なにかしら余剰なものがある」というシェアリングエコノミーの考えにマッチしていると気づきました。
自動車や会議室など目に見えるものから、特許などの目に見えない権利に至るまで、まだまだシャアリングエコノミーの種はありそうです。
photo by PIXTA
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