文具はひとりでも作れる

スマートフォンの台頭によりコミュニケーションにSNSをはじめとしたアプリケーションが生活に浸透してはいますが、学生や社会人だけでなく誰もが使わない日がないと言えるものに文具があります。
街中の文具店が少なくなったとはいえ、この10年間の文具ブームの後押しもあり、大手文具販売店の品揃えは大変充実したものになっています。老舗の文具メーカーは創業100年を超える企業も数多くあり、これらの企業が作る商品は生活になくてはならないものとして定着しています。
そんな中で私がここ数年、非常に注目しているのは独りで文具のメーカーを立ち上げるひとり文具メーカーと呼ばれる人たちです。事実、日本文具大賞という業界で評価される賞のグランプリにこの2年連続で選ばれた商品を作るのもひとり文具メーカーが生み出した商品でした。

ベンチャー文具メーカーの誕生

ひとり文具メーカーは企画から開発、商品化を全てひとりで仕切っているメーカーのことを指しますが、アイデアを商品化するために技術力を有する工場の協力は欠かせません。

有限会社メディアキューブもそのひとつです。社長の久田充浩氏はイベント企画の会社を興したものの小学生時代からの文具好きが高じ、文具雑貨メーカーへの転身を決心し、そこで考え抜いた末にできあがったのがほとんどのペンを挿すことができるペンスタンド「ぺんコッコ」です。まずは形のイメージがあり、それを実現させるため、恥を忍んで人に聞いたり自分で必死になって調べたりしてノウハウを得てきました。委託先工場の決め方から取引価格の相場、金型の知識、商品の定価の設定、契約の交渉の仕方などなど全て知識のないところからのスタートでした。

アイデアをカタチにすること

普段から何かアイデアが浮かんだら、「世界中に自分と同じ事を考えている人はたくさんいる」と思い、その中で自分は今どのポジションにいて、どこまで目指すのかを常に把握しながらアイデアを進めて行くことで「ぺんコッコ」は完成しました。特許取得は知的財産の保護だけではなく、取得までのプロセス段階で得る様々な知識や思考、世の中の仕組み、ひいては達成感までもが大きな収穫であることに気が付いたと久田氏は語っておられました。

まだまだ続く文具ブーム。ひとりで立ち上げた会社だけでなく、技術を持った文具以外の老舗企業が文具業界にベンチャー企業として新規参入し、新たな価値を生み出しています。

NEXT switch株式会社 代表取締役 文具営業専門家
■経歴
文具営業・開発コンサルタント。
1976年大阪生まれ。名古屋商科大学大学院マネジメント研究科修了 MBA(経営学修士)。
物心がついた時からマジックインキ®などの筆記具やクレヨンなどの画材をはじめとした様々な文具に囲まれて育った。大学卒業後都市ガス会社のシステム部門へ就職し、2006年に祖父が創業した老舗筆記具メーカーに転職。営業、経営企画を経て2014年9月に独立し現職。「ベンチャー文具メーカー」を支援するための独自のビジネスモデルを実践。文具業界だけでなく多方面への人脈なども活用し「文具営業専門家」、文具道師範代として文具通販「文具道」の運営に携わる。
■専門分野
文具業界におけるビジネスマッチング、メーカーの営業支援・開発支援。卸、販売店の活性化。