少年ジャンプとコラボした特別なファミコン

任天堂の「ファミリーコンピュータ(ファミコン)」(1983年発売)を小型で復刻させた家庭用ゲーム機「ミニファミコン」が復刻され、次いで「スーパーファミコン」も復刻され話題になりました。大きくなった昭和のお子様には懐かしいものばかりですし、いまどきの平成のお子様にも新鮮なのかもしれません。

そのミニファミコンが、今度は少年ジャンプ(集英社)とコラボした特別なモデルを7月7日にリリースすると発表されました。私が小学生の頃、友達の家で見かけたソフトがたくさん収録されるようです(余談ですが、私は当時ファミコン他ゲームの類を買ってもらえませんでした)。懐かしいですね。

任天堂公式Webサイト

収録されるタイトルのラインナップ

公式によると次の作品(ゲーム)が収録されるようです。

  • キャプテン翼©高橋陽一/集英社 ©コーエーテクモゲームス
  • キャプテン翼II スーパーストライカー©高橋陽一/集英社 ©コーエーテクモゲームス
  • キン肉マン マッスルタッグマッチ©ゆでたまご・東映アニメーション ©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
  • 魁!!男塾 疾風一号生©宮下あきら/集英社・東映アニメーション ©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
  • 聖闘士星矢 黄金伝説 完結編©車田正美/集英社・東映アニメーション ©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
  • 天地を喰らう©本宮ひろ志 ©本宮企画 ©集英社 ©カプコン
  • ドラゴンクエスト©1986 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SPIKE CHUNSOFT/SQUARE ENIX All Rights Reserved. ©SUGIYAMA KOBO
  • ドラゴンボール 神龍の謎©バードスタジオ/集英社・東映アニメーション ©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
  • ドラゴンボール3 悟空伝©バードスタジオ/集英社・東映アニメーション ©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
  • ドラゴンボールZ 強襲!サイヤ人©バードスタジオ/集英社・東映アニメーション ©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
  • 北斗の拳©武論尊・原哲夫/NSP・東映アニメーション ©東映アニメーション ※
  • キン肉マン キン肉星王位争奪戦©ゆでたまご・東映アニメーション ©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
  • 暗黒神話 ヤマトタケル伝説©諸星大二朗 ©1989 東京書籍
  • 聖闘士星矢 黄金伝説©車田正美/集英社・東映アニメーション ©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
  • 赤龍王©本宮ひろ志 ©本宮企画 ©集英社 ©SUNSOFT ©TOKAI ENGINEERING
  • ファミコンジャンプ 英雄列伝 ©JUMP 50th Anniversary ©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
  • ファミコンジャンプII 最強の7人©JUMP 50th Anniversary ©BANDAI NAMCO Entertainment Inc. ©ARMOR PROJECT ©Spike Chunsoft
  • 北斗の拳3 新世紀創造 凄拳列伝©武論尊・原哲夫/NSP・東映アニメーション ©東映アニメーション ※
  • まじかる☆タルるートくん FANTASTIC WORLD!!©江川達也/集英社・東映アニメーション ©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
  • ろくでなしBLUES©森田まさのり/集英社 ©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

このタイトルリストには次の一文が付けられています。

※本商品のうち、「北斗の拳」「北斗の拳3 新世紀創造凄拳列伝」は、平成30年3月16日に著作権法第67条の2第1項の規定に基づく申請を行い、同項の適用を受けて作成されたものです。

オーファンワークス

オーファンワークス(orphan works,孤児作品)とは,著作権者不明の著作物のことです。上で紹介した北斗の拳の注意書きはこのオーファンワークスに関するものです。

著作権者不明とは、次のような例があります。

  • 権利者が誰かわからない
  • 権利者がわかったとしても、権利者がどこにいるのかわからない(連絡がつかない)
  • 亡くなった権利者の相続人が誰でどこにいるのかわからない

このような著作物については、著作権者に利用の許諾を得たいのに許諾を得ることができないということになります。

著作物等は、原則、著作権者から許諾を得なければ第三者は利用(複製等)をすることができません。従って、著作権者にコンタクトをとれないオーファンワークスに関しては、その作品を利用できないということになってしまいます。

文化庁長官の裁定制度

著作権者不明等の場合においても著作物が利用できるように、著作権法では「文化庁長官の裁定制度」が定められています(第67条)。権利者の許諾を得る代わりに、文化庁長官の裁定を受け、通常の使用料相当額に相当する補償金を供託することで著作物を適法に利用できるようになる制度です。

文化庁長官の裁定制度詳細はこちらから(文化庁HP)

裁定の申請は、下記ア~ウの手段による「相当な努力を払つてもその著作権者と連絡することができない場合」(第67条1項)に行うことができます。

ア 広く権利者情報を掲載していると認められるものとして文化庁長官が定める刊行物その他の資料を閲覧すること(令第7条の7第1項第1号)
▼ 著作物等の種類に応じて作成された名簿等の閲覧/ 検索エンジン等での検索/文化庁のデータベースでの検索
イ 著作権等管理事業者その他の広く権利者情報を保有していると認められる者として文化庁長官が定める者に対し照会すること(令第7条の7第1項第2号)
▼ 著作権等管理事業者等への照会/ 同種著作物等についての専門団体等への照会/ 文化庁長官への照会
ウ 時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙への掲載その他これに準ずるものとして文化庁長官が定める方法により,公衆に対し広く権利者情報の提供を求める
こと(令第7条の7第1項第3号)
▼ 日刊新聞紙または公益社団法人著作権情報センター(CRIC)のウェブサイトに7日以上の期間継続して掲載

前述の北斗の拳、北斗の拳3 新世紀創造凄拳列伝もCRICに掲載されています。

なお、文化庁に裁定申請を行い、文化庁長官の定める担保金を供託することにより、裁定の決定前であっても著作物等の利用が開始できるようになります。(第67条の2,第103条)。
※著作者が著作物の利用を廃絶しようとしていることが明らかな場合を除きます。

本制度を利用することにより、裁定の決定を待って利用を開始する場合と比べて、早期に著作物等の利用を開始することができるのです。

東映アニメーション株式会社は、この制度を利用し、「相当な努力を払つてもその著作権者と連絡することができない場合」であるとして、平成30年3月16日に著作権法第67条の2第1項の規定に基づく申請と供託を行って、著作物である「北斗の拳」「北斗の拳3」の収録を決めていることが推察されます。

少年ジャンプ×ミニファミコンプロジェクトは昨年の12月頃から走り出していたのですね。今後も、いろいろな「復刻版」が世にリリースされることでしょう。その時は、ぜひこの制度を思い出してください。
また時々、CRICをチェックすると未発表の復刻版情報が手に入るかもしれませんね。

坂野明日香

知財キュレーター。主に補助金・クラウドファンディングの話題を担当。
アフター5はNPO法人の理事長。ロケットストーブ&スターリングエンジンの普及促進活動をしています。