脳梗塞から生まれた発明

5年前、2度目の脳梗塞で生死をさまよい、半身が動かなくなった遠藤一代吉(かずよし)さんは、医師から「もう歩けることはないでしょう…」と車椅子生活を宣告されていました。

一人暮らしをしている遠藤さんは、車椅子生活になると常に介助が必要になることもあって心理的にも負担も相当でした。「なんとか歩くことはできないか?」と考えを巡らせていたところ「杖を床に落とす心配がなければ、歩く練習ができるのでは?」と閃き、家にあったカメラのショルダーベルトを杖につけることでリバビリ病院や自宅などで歩く練習を続けられたのです。
思惑は当たり、なんと1年後には杖を使って1人で歩くことができるようになったのです。

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杖にショルダーベルトをつけたことで、今までできなかったことがたくさんできるようになりました。「ドアノブを扱う」「携帯電話や財布を取り出す」といった動作を杖から手を放してすぐ行えるなど、良いことずくめでした。遠藤さんの回復ぶりを見て、リハビリ施設のスタッフさん達も他の患者さんにショルダーベルトを杖につけることを推奨するようになってきたそうです。

そこで生活の中から生まれるアイデアを商品化する私ども(株式会社発明ラボックス)に「杖専用のショルダーベルト」の開発の声がかかり、杖に最適なショルダーベルトを開発しました。歩きの妨げにならない十分な長さを確保し、肩から外れないようにするための「スライダー」や、エスカレータや階段などの利用時には杖の置き場所に困ることなく手すりに掴まることができるようにするために胸元あたりに杖を保持する「ベルト輪」も設けるなどの工夫して開発したのです。

商品化への改良

この商品を利用する方々を考えると、医療マターを熟知している会社でないと販売が難しい…と感じていたところ、帝國製薬グループのテイコクファルマケア株式会社が販売をしてくださることになりました。安全面や、仕様に関しても厳しいチェックが入り、さらに商品を大きく見直しました。
杖が何かに挟まった時などを考慮して5kg程度の力が杖にかかると安全クリップが外れてベルトと杖が分離するようにし、その際にも外れたベルトができるだけ邪魔にならず、再び杖を利用して歩くことができるように、安全クリップの位置にもこだわりました。ベルト自体が何かに引っかかった時は、胸元のスナップボタンを下に引っ張るだけで容易に外れるようにも改良しました。
改良には1年もかかりましたが、利用者のことを考えれば妥協はできませんでした。

2018年2月、開発した杖用ショルダーベルト「ARUKUTOMO(アルクトモ)」は、公的な福祉製品認定制度「かわさき基準2017」の認定を受けました。複数の施設でのモニター結果により、効果があると認められたのです。

まさに体験者、医薬品メーカーこの両者のタッグがなければ生まれなかった発明品です。

杖用ショルダーベルト「ARUKUTOMO(アルクトモ)」

株式会社発明ラボックス 代表取締役/発明家
「お金をかけずに発明する」をモットーに数々のヒット発明品を生み出している主婦発明家。
販売促進用ツール「紙パズル」100万枚ヒット。掃除機のノズル「ペン先すーぴぃ」は14万個、「おそうじシュシュ」8万個、「おまとめハンガーカバー」「耳あてマフラー」など数々のヒット商品を生み出す。誰でも考えうる簡単な構造であるが特徴を持たせ権利を取得、数々の企業とロイヤルティ契約を結んでいる。

2010年 株式会社発明ラボックス 設立
個人発明家のアイデアをメーカーに繋ぐ「アイデアご意見隊」運営
[主なテレビ出演]
2012年12月 「ヒルナンデス!日テレ」スーパー主婦コーナー 特集
2013年2月 「笑っていいとも!フジテレビ」出演
2014年9月 「ノンストップ!フジテレビ」特集
2015年3月 「バイキング フジテレビ」出演
2016年9月 「NEWS アンサー テレビ東京」出演
2017年9月 「Rの法則Eテレ」
など、メディア出演多数