先週、特許庁から「自らの商標を他人に商標登録出願されている皆様へ(ご注意)」との案内がありました。
具体的には2018年6月9日に施行された改正商標法についての内容で、商標登録出願の分割要件の強化に関するものです。

商標登録出願の分割とは、ある商標登録出願について、指定商品・指定役務(サービス)の一部を分割した新たな商標登録出願とすることができる制度です。分割した新たな商標登録出願は、元の商標登録出願の日にしたものとして扱われるため、審査などで有利になります。

今回、何が問題視されたかというと、とある法人と個人が大量に商標登録出願をしており、かつ、それらが他人が事業に使いそうな名称ばかりであるために、法的リスクを危惧して事業に二の足を踏んでしまうのではないか、という点です。
くだんの商標登録出願をしている方はほとんど出願料を納付していませんので、その出願自体は却下されます。しかしながら、分割出願を使うことで、実際に誰かが事業化したあとから出願日を繰り上げて新たな商標登録出願をできる余地もあったのです。

一時は全国版のニュースにもなったような大量出願でしたので特許庁も問題視し、たびたびアナウンスをしていました。そして今回の商標法改正に至ったというわけです。
改正商標法では元の商標登録出願について出願料を納付していなければ、分割出願を無効としています(出願日が繰り上がらない)。

商標法は事業に関するブランドを適切に守るための法律です。
数打てば当たる的にほとんど登録されない商標登録出願をして事業を委縮させては本末転倒です。時流にあわせてこうして制度も改善されていくのですね。

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後藤 英斗

弁理士。発明plusの外部ライター(IT系担当)。プログラミング大好き。
IPA ネットワークスペシャリスト、セキュリティスペシャリスト。