コラム
Column
いつもの朝の FM ラジオを聴いていたら気になるワードが耳に入ってきました。
瀬畑亮さんという方がセロテープを素材として様々なオブジェを創作する芸術活動をされていて、その展示会があるそうです。
この「セロテープ」は、実はニチバン株式会社の登録商標(商標登録第2220846号など)だということをご存知でしょうか。
透明な素材にノリの付いているテープを無意識に「セロテープ」と呼んでしまいますが、ニチバン以外の製品も含めて呼ぶのであれば「セロハンテープ」というのが普通の名称のようです。
ちなみに「セロテープアート」もニチバン株式会社の登録商標(商標登録第5071500号)です。
商標法では「第二十六条 商標権者は、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有することができる。」と定めており、ニチバン株式会社とは他人である瀬畑さんは「セロテープ」や「セロテープアート」という名称を使うことに問題はないのでしょうか?
気になって調べてみたところ、ご本人の Web サイトに次のような経歴が紹介されていました。
大学卒業後は社会人となり、造形・デザイン・イラストレーション等のクリエティブ系の職種をいろいろと経験しながらアーティスト活動を続けて行き、同時に自分なりの方法で「アーティストとして生きて行く道」を模索するべくセルフプロデュース活動を始めました。その結果2004年に国内テープメーカー大手のニチバン株式会社と専属作家契約を結ばせて頂く事に至り、2007年には同社が「セロテープアート®』の登録商標権を取得。以降同社公認の「世界で唯一のセロテープアート®作家」としてアーティスト活動を展開して行くようになりました。
– 瀬畑さん Web サイトより
つまり、瀬畑さんはニチバンと専属作家契約を結び、「セロテープ」や「セロテープアート」の商標の使用を許諾されていると考えられます。ニチバンとしては広告宣伝効果を狙ったところもあるかと思われますが、知的財産権を上手く許諾してビジネスに活かされていますね。
商標権者であるニチバンは「セロテープアート」の名称の許諾をコントロールでき、現状で許諾をしているのが瀬畑さん唯一人。したがって、「世界で唯一」のキャッチコピーも上手く保証されています。
気になるセロテープアートの展示会が、6月9日から7月7日まで、愛知県安城市の市民ギャラリーで開かれています。興味のある方は「世界で唯一のセロテープアート」瀬畑亮さんの Web サイトをチェックしてみてください。
セロテープアート – 瀬畑亮さん Web サイト
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