商標法3条1項6号

商標法では商品やサービスを示すものとしての識別力を有さないものについて商標登録を認めないこととしています。
商標法3条1項から5号に具体例が挙げられ、そして6号として「前各号に掲げるもののほか、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」は識別力がないとします。
商標審査基準を見てみると、この商標法3条1号6号に該当するものとして「現元号を表示する商標」を挙げています。すなわち、「平成」の文字列には商標としての識別力がなく、それだけでは商標登録を受けられないということになります。

近づく改元

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さて、そうなると、2019年5月1日に予定されている改元によって元号が平成から変わった場合、「平成」を商標として登録することができるようになるのでしょうか?
その点について、特許庁からアナウンスがありましたので紹介します。

元号に関する商標の取扱いについて – 特許庁

このアナウンスによると、新元号はもちろん、旧元号についても単に創業年など事業の「質」などを表示するものにすぎないため(商標法3条1項3号)、やはり識別力を有さずに商標登録を原則認めないとのことです。
例えば、いま「昭和」などの商標を出願しても同じ理由で拒絶されるのでしょう。

登録になっている商標もあるような…

元号の商標としてまず思いつくのは明治ホールディングス株式会社の「明治」(商標登録第279379号など)でしょうか。これはかなり古い時期に登録されているので現在の商標法・審査基準で語れるかと言うと異なる部分があるかもしれませんが、例えば、現在の商標法では事業などに使用したことによって識別力を有することとなった商標は登録できるという特別ルール(商標法3条2項)があるので、その適用を受けられる可能性があります。チョコレートに「明治」と書いてあったら、「あの会社の商品か」と思えますしね。
ではジャニーズ事務所株式会社「Hey!Say!JUMP」(商標登録第5145515号)はどうでしょう。こちらは「平成」感はあるものの「Hey!Say!」とモジっていますし、「JUMP」という付加要素もありますので、単純に現元号を表示したものとはいえないでしょう。「ヘイセイジャンプ」と聞けばあのアイドルグループと認識することもでき、識別力もOKです。

後藤 英斗

弁理士。発明plusの外部ライター(主にIT系担当)。
ネットワークスペシャリスト、セキュリティスペシャリスト。