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溶接業務で発生する問題点を克服した商品を自ら開発

愛知県岡崎市にある加工業を行うエスティー社の迫田俊一社長にお話をうかがいました。

エスティー社がこのたび開発したのは、金属加工を行う際にどうしても発生する金属のゆがみである「歪(ひずみ)」を矯正する歪取装置。歪は金属であれば自重で必ず生じてきてしまいます。この歪を取る作業を短時間でどれだけ正確にできるかが加工業者にとってはポイントとなります。

エスティー社の歪取装置は、自社で加工業を行う際に行っていた歪取工程を短時間で正確行うために作った製品です。すなわち、自社で加工業をスムーズにするために制作したのが製品作りの始まりなのです。歪を取る作業で時間がかかるのが糸などを使って金属の平行度を測ることにあります。歪を取る作業をした後も、歪がなくなったかを糸などを使って繰り返し確認していました。

今回開発した歪取装置は、デジタル使用となっており歪を取る作業と同時に歪がなくなったかの測定もします。歪がない部分と同じ測定値になるように加工することで歪がないことが保証できるのです。このポイントは一目でだれがみてもわかることです。そのためお客様に対しても数字で明確に歪がないことを伝えることができるようになりました。今まで歪取の加工作業にかかっていた時間が従来よりも半分以下になったとのことです。

製品化を行いたいと考えている加工業者は多々あります。そして製品化をする際に自身の会社の業務と全く異なる業態の商品で勝負をしている会社をよく見ます。しかし、エスティー社のように、自社の加工業の延長であることで、同業者が欲しがるような製品が作れるのだと感じます。

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自社の業務の延長で商品を開発することによる効果

自社で検証、改善を行うことができるため効率的です。開発現場では、実験して失敗して作り直す作業の連続です。そのため、今回のように自社で製品を使いながら実験を行うことができる効果は大きいです。

さらに、今回の製品が歪を測定しデジタル化することで数値化できたためお客様に対しても、今まで以上にアピールすることができているとのことでした。今回のエスティー社のように技術力がある会社が、自社の業務の延長で製品を作ることで技術力をさらにアピールすることができるのではないかと感じます。

実際の加工現場から製品を開発する。新商品を開発する場合に大きく失敗しない方法は、自身の業務から大きくはなれた商品を作るのではなく、半歩だけ進んだ商品を作ることにあります。半歩だけ進んだ商品であれば、商品開発自体が本業に対して大きなアピールになるためです。

『株式会社エスティー』
〒444-2135 愛知県岡崎市大門4丁目21番地8
電話 0564-28-3626
http://www.yaromaikai.jp/st/index.html

富澤 正

弁理士。当サイト『発明plus(旧:開発NEXT)』および同タイトルのフリーペーパーの編集主幹。
■経歴
知財コンサルタント。コスモス特許事務所パートナー。名古屋工業大学非常勤講師。
1980年愛知県生まれ。名古屋工業大学大学院修了。
特許業務の傍ら、知的財産の執筆活動・講演活動などを行う。自身の知的財産権を活かしてアイデア商品を作るベンチャー企業Time Factory株式会社を設立し、資格試験の受験生向けの商品などを手掛ける。
■専門分野
知財ビジネスマッチング、開放特許活用戦略、知財を活かしたビジネスモデル作り
■著書
『社長、その商品名、危なすぎます!』(日本経済新聞出版社)
『理系のための特許法・実用新案法』(中央経済社)
『理系のための意匠法』(中央経済社)
『理系のための商標法』(中央経済社)
■連載
『日経産業新聞』にて連載 (2017.5.12~20217.5.20)
『中部経済新聞』「みんなの特許」を毎週月曜日に連載中 (2014.4~現在)『サンケイビジネスアイ』「講師のホンネ」にて月1コラム連載 (2013.5~2014.1)
『日刊信用情報』にて「知財コンサルタント富澤正の「知的財産権を極める」」を週1コラム連載 (2013.9~2014.8)