「税関で有名ブランドのバッグなどの偽物が押収された」というニュースを見ることがあります。

発明plusをご覧いただいている知的財産権に関心のある方はもちろん、たいていの方はブランド品をまるっとコピーした商品を生産・販売すれば、何らかの法律に違反すると予想します。ブランド品のコピーで最も問題となるその法律は「商標法」です。商標法は、商品名やブランド名、ロゴマークなどの商標を保護する法律です。

コラ・コーラ」と名づけた清涼飲料を販売する方はいらっしゃるでしょうか。
現代ではそんな名前の飲料はあの赤いラベルの炭酸飲料として認識しているので、同じ名前を使おうとは思いませんね。そんな商売をしたら訴えられることが目に見えています。しかしながら、戦後間もない頃には「コラ・コーラ」という名をつけて商売をした人がいて、実際にコカ・コーラ社から訴えられたという事案があるそうです。

それでは、ビールに「ライジングサン」と名づけて販売することを考えついたとします。実は、これも問題になりそうです。カンがいい方は気がつくかもしれませんが、何が問題なのかわからない方もいるかもしれません。
ライジングサンを日本語に訳すと「朝日」。「アサヒ」ビールを連想できます。文字の上では異なりますが、意味としては同様であるため、商標法的にはアウトとなる可能性があります。商標法では、商標の外観(見た目)、称呼(読み方)、観念(意味・連想)のそれぞれで類似するかどうかを考えます。

パロディ商品が問題になることもあります。
アメリカでの事例ですが、ケーブルテレビのパロディ企画として「ダム・スターバックス・コーヒー(Dumb Starbucks Coffee)」という店が出店されたようです。この「ダム」は「バカ」を意味します。これは本家本元のスターバックス・コーヒーに許されるはずもなく、店は閉鎖させられたようです。
パロディだから許される、と考えたのかどうかは今となっては分かりませんが、法律の面から考える上では、パロディとして使っているのかどうかはまったく問題になりません。商標が似ているかどうかだけです。「ダム」という言葉をつけたところで、「スターバックス・コーヒー」の商標がそのまま残っていれば、それは商標権侵害になり得ます。

日本でも、高級時計メーカーの「フランクミュラー」を意識したような「フランク三浦」という時計が問題になったことがありました。このケースでも、パロディだからどうという問題ではなく、商標として「フランクミュラー」と「フランク三浦」が類似しているか否かが問題とされたのでした。
パロディだからという考え方は危険です。商標として名前を使う場合にはあくまで商標が似ているかどうかで考えることが大切です。似ている以上はパロディだろうと許される範囲というものは無いということです。

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富澤 正

弁理士。当サイト『発明plus(旧:開発NEXT)』および同タイトルのフリーペーパーの編集主幹。
■経歴
知財コンサルタント。コスモス特許事務所パートナー。名古屋工業大学非常勤講師。
1980年愛知県生まれ。名古屋工業大学大学院修了。
特許業務の傍ら、知的財産の執筆活動・講演活動などを行う。自身の知的財産権を活かしてアイデア商品を作るベンチャー企業Time Factory株式会社を設立し、資格試験の受験生向けの商品などを手掛ける。
■専門分野
知財ビジネスマッチング、開放特許活用戦略、知財を活かしたビジネスモデル作り
■著書
『社長、その商品名、危なすぎます!』(日本経済新聞出版社)
『理系のための特許法・実用新案法』(中央経済社)
『理系のための意匠法』(中央経済社)
『理系のための商標法』(中央経済社)
■連載
『日経産業新聞』にて連載 (2017.5.12~20217.5.20)
『中部経済新聞』「みんなの特許」を毎週月曜日に連載中 (2014.4~現在)『サンケイビジネスアイ』「講師のホンネ」にて月1コラム連載 (2013.5~2014.1)
『日刊信用情報』にて「知財コンサルタント富澤正の「知的財産権を極める」」を週1コラム連載 (2013.9~2014.8)