登録商標とは土地の権利書のようなもので、ある商品・サービスにその商標をつけることを独占できるという権利の証です。

つまり、他人が無断で同じような商品やサービスに同じような商標を付けていたら、これを排除できます。土地なら勝手に入ってきた他人を追い出せますよね。

登録商標の効力としては更に、無断に商標を使って得た利益を取り返させたり、無断使用によって発生した損害を賠償させたりすることができます。
また、無断ではなく商標を使いたいという申し出があった場合には、許諾を与えて対価を受け取ることができます(許諾だけ与えて対価を受け取らないことも当然できます)。

つまり、商標登録された商標(登録商標)は、ある種の資産のような価値を持つのです。

以前『金持ち父さん貧乏父さん』という本が流行したことがありました。その本によると、医師や弁護士など自ら動かなければならない職業よりも、お金や資産を運用して自分が動かなくても収入が得られるというのが、金持ち父さんの特徴だそうです。

その意味で考えると、登録商標はまさしく金持ち父さんになれる可能性のある権利でもあります。

特許は出願から20年で権利が消滅してしまいますが、登録商標は更新を続けていく限り永遠に保有し続けられます。期限のない権利という意味でも、商標登録は土地と似ています。

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シャネルなどの有名ブランドは、品質の良さはもちろんですが、そのブランド名である商標が顧客を集めている側面も否定できません。長年いいものを作り続けることで、そのブランドに目に見えない付加価値がついていきます。その付加価値を守れるのが商標登録です。

世の中には、商標があふれているのに、これを扱う商標法・不正競争防止法はあまり知られていません。でも、みなさんがビジネスを行っていくうえで知っておかなければならない法律です。
知らないでいると、いつ自身の看板や商品名を変えなければならないとも限りません。反対に、知っていれば、自身に利益をもたらしてくれるかもしれないのです。

富澤 正

弁理士。当サイト『発明plus(旧:開発NEXT)』および同タイトルのフリーペーパーの編集主幹。
■経歴
知財コンサルタント。コスモス特許事務所パートナー。名古屋工業大学非常勤講師。
1980年愛知県生まれ。名古屋工業大学大学院修了。
特許業務の傍ら、知的財産の執筆活動・講演活動などを行う。自身の知的財産権を活かしてアイデア商品を作るベンチャー企業Time Factory株式会社を設立し、資格試験の受験生向けの商品などを手掛ける。
■専門分野
知財ビジネスマッチング、開放特許活用戦略、知財を活かしたビジネスモデル作り
■著書
『社長、その商品名、危なすぎます!』(日本経済新聞出版社)
『理系のための特許法・実用新案法』(中央経済社)
『理系のための意匠法』(中央経済社)
『理系のための商標法』(中央経済社)
■連載
『日経産業新聞』にて連載 (2017.5.12~20217.5.20)
『中部経済新聞』「みんなの特許」を毎週月曜日に連載中 (2014.4~現在)『サンケイビジネスアイ』「講師のホンネ」にて月1コラム連載 (2013.5~2014.1)
『日刊信用情報』にて「知財コンサルタント富澤正の「知的財産権を極める」」を週1コラム連載 (2013.9~2014.8)