ブランド – 有名なブランドというと、鞄(バッグ)のルイ・ヴィトンがあります。ルイ・ヴィトンの鞄には、「LOUIS VUITTON」という文字列のほかにLとVを重ねたモノグラムが付けられています。このモノグラムも鞄の商標(=商品を選ぶ目印)として機能します。
モノグラムの例では、読売ジャイアンツのYとGを重ねたもの、中日ドラゴンズのCとDから成るものなどもあります。

鞄に「鞄」とか「バッグ」のような商品そのものの名前は登録商標になりませんが、「ルイ・ヴィトン」という言葉は登録商標となり得ます。モノグラムのように図案化されたものも登録商標となりえます。

その他、モノのでも登録商標となることができます。立体商標というものです。
たとえば、あの独特な形のコカ・コーラの瓶、誰が見ても区別がつくヤクルトの容器、キャラクターの人形を見ただけで会社名が浮かぶ不二家のペコちゃん人形、ホンダ社のスーパーカブ、店先に立ち続けるケンタッキーフライドチキン社のカーネルサンダース像などがあります。

立体商標は比較的新しい制度で、日本では1994年から始まりました。最初に登録された立体商標は、早稲田大学の大隈重信像です。確かに特定の大学を想起させるほど有名な像ですが、産業界・商業界でないところから最初の登録がというとどこか意外な感じがしますね。

「えっ、これも?」と驚かれる意外な商標はほかにもたくさんあります。
たとえばリーバイスのジーパン。尻の部分のタグに描かれた馬車の図案、これはもちろん登録商標です。それに加え、リーバイスのジーパンのポケットにあしらわれたV字のステッチも、なんと登録商標なのです。このV字のステッチは、もともとアメリカで登録されたものですが、アメリカでもかなり古い商標登録の1つとなっています。

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このステッチが施された当初の理由は、商標やデザイン面からの必要ではなく、ポケットが破れやすいという問題を解決するためのものだったそうです。しかしながら、それが長年使われることによって、あの独特のステッチがついたポケットがあることが誰が見てもリーバイスのジーパンと分かるようしたのです。すなわち、V字ステッチは、ジーパンがリーバイス製のものであることを示す商標としての機能を獲得したのです。
リーバイスだけでなく、波の形をしたステッチはLeeのジーパンを示す商標となっています。

ジーパンをよく観察すると後ろのポケットにさまざまなステッチがついています。デザインの要請であることもありますが、それぞれが各社の登録商標となっているため、他社が同じステッチをつけることができず、その結果としてステッチのバリエーションが増えているということもあります。

富澤 正

弁理士。当サイト『発明plus(旧:開発NEXT)』および同タイトルのフリーペーパーの編集主幹。
■経歴
知財コンサルタント。コスモス特許事務所パートナー。名古屋工業大学非常勤講師。
1980年愛知県生まれ。名古屋工業大学大学院修了。
特許業務の傍ら、知的財産の執筆活動・講演活動などを行う。自身の知的財産権を活かしてアイデア商品を作るベンチャー企業Time Factory株式会社を設立し、資格試験の受験生向けの商品などを手掛ける。
■専門分野
知財ビジネスマッチング、開放特許活用戦略、知財を活かしたビジネスモデル作り
■著書
『社長、その商品名、危なすぎます!』(日本経済新聞出版社)
『理系のための特許法・実用新案法』(中央経済社)
『理系のための意匠法』(中央経済社)
『理系のための商標法』(中央経済社)
■連載
『日経産業新聞』にて連載 (2017.5.12~20217.5.20)
『中部経済新聞』「みんなの特許」を毎週月曜日に連載中 (2014.4~現在)『サンケイビジネスアイ』「講師のホンネ」にて月1コラム連載 (2013.5~2014.1)
『日刊信用情報』にて「知財コンサルタント富澤正の「知的財産権を極める」」を週1コラム連載 (2013.9~2014.8)