商標制度は進歩しています。
立体的な商標が新しく認められ、最近では更に多くの形態の商標が登録できるようになっています。

photo by PIXTA

たとえば、以前から海外では認められていたの商標の登録制度が日本にも導入されました。たとえば久光製薬社のコマーシャルで流れる「ヒ・サ・ミ・ツ」の音(メロディー)が登録されています。これは、日本で制度ができる以前から海外では登録されていた商標です。

音を聞くだけで、「ああ、あの会社だ」と分かるものは意外に多くあります。
アップル社のPCが起動するときに流れるあの「ブーン」という電子的な起動音や、インテル社のCMコマーシャルで使われる特徴的なメロディーも、これを聞けばどこの会社の商品を示すのか、多くの人が分かります。
このように、商品やサービスの出どころを示す機能をもつものは、音(メロディー)であっても商標といえます。

音の他には、色彩の商標というものも認められています。株式会社トンボ鉛筆の消しゴムのカバーの三色の色彩が商標登録されています。
また、女性に人気のファッション靴であるクリスチャン・ルブタンという有名なブランドがあります。このブランドのハイヒールは、靴底が赤色になっているのが大きな特徴です。この商標は、欧州で登録されていますが、日本では2018年9月現在ではまだ審査中のようです。

動きの商標というのもあります。
映画ではたいていオープニングの前に配給会社を示す映像が流れます。アメリカでは、20世紀フォックス(Twenty Century Fox Film)のオープニングの際の動きが商標として登録されています。映画が好きな人であれば、 同社のロゴを下から照らすサーチライトの動きを見れば、どこの会社の作品かすぐに判断できるものです。
MGM(メトロ・ゴールドウィン・メイヤー)作品のライオンが吠えるオープニングロゴも、アメリカで商標登録されています。

従来の商標は、文字、図形、または文字と図形の組み合わせというのが基本でした。そこに立体的形状が加わり、その後、音・色彩・動き・位置・ホログラムといった新しいタイプの商標が加わっています。
商標とは、商品やサービスについて誰が提供しているものかを示す目印としての機能を果たすものです。商標制度の変化は、流通が発達した現代においては、さまざまな要素が商標として機能するようになってきていることの反映といえるでしょう。
外国では香りも商標として認められることがあるという話も聞きますが、日本の慣習のなかではまだ香りが商品の目印となるとまでは言えないようです(香水など香りそのものが商品ということはありますが)。

富澤 正

弁理士。当サイト『発明plus(旧:開発NEXT)』および同タイトルのフリーペーパーの編集主幹。
■経歴
知財コンサルタント。コスモス特許事務所パートナー。名古屋工業大学非常勤講師。
1980年愛知県生まれ。名古屋工業大学大学院修了。
特許業務の傍ら、知的財産の執筆活動・講演活動などを行う。自身の知的財産権を活かしてアイデア商品を作るベンチャー企業Time Factory株式会社を設立し、資格試験の受験生向けの商品などを手掛ける。
■専門分野
知財ビジネスマッチング、開放特許活用戦略、知財を活かしたビジネスモデル作り
■著書
『社長、その商品名、危なすぎます!』(日本経済新聞出版社)
『理系のための特許法・実用新案法』(中央経済社)
『理系のための意匠法』(中央経済社)
『理系のための商標法』(中央経済社)
■連載
『日経産業新聞』にて連載 (2017.5.12~20217.5.20)
『中部経済新聞』「みんなの特許」を毎週月曜日に連載中 (2014.4~現在)『サンケイビジネスアイ』「講師のホンネ」にて月1コラム連載 (2013.5~2014.1)
『日刊信用情報』にて「知財コンサルタント富澤正の「知的財産権を極める」」を週1コラム連載 (2013.9~2014.8)