公正取引委員会が知的財産権の絡む取引でいわゆる下請けいじめが行われていないか調査するとの報道がありました。

知的財産巡る「下請けいじめ」公取が実態調査へ – YOMIURI ONLINE 2018.9.24

特許は発明をしたことのインセンティブとして与えられる独占権。この権利の行使は原則、特許権者に自由があります。たとえば、許諾をする場合には実施の条件やライセンス料の額について、裁量があるといえます。
しかしながら、今回の報道によれば、特許権をもつ下請け企業の中には、優越的な発注元企業から特許技術を用いた製品を受注した場合に特許の価値に相当する分の価格を上乗せさせてもらえないケースや、その技術の提供を迫られたりするケースが実態があるそうです。
特許は目に見えないものなので原価として想像できないのかもしれませんが、その開発には多大な労力やコストがかかっていて、研究開発費の回収のためにはやはり販売価格に転嫁する必要があります。また、開発した技術を安易に提供してしまえば別のところで製作されたりしてやはり開発費の回収は難しくなるでしょう。
発注元企業の優越的な地位を使って下請け企業の特許の価値を不当に得るような行為を下請法に抵触するものとして取り締まろうというのが、今回の公正取引委員会の動きのようです。努力の結晶「特許」の価値を活用して更なる研究開発が進められる、そんな取引環境の維持が期待されます。

公正取引委員会といえば下請法とともに独占禁止法を所管する機関です。
やや専門的な話ですが、技術の独占を認める特許法と、市場の私的独占を禁じる独占禁止法は、相反する性質をもっています。機会があればこの点についても紹介したいと思います。

後藤 英斗

弁理士、情報処理安全確保支援士(登録セキュリティスペシャリスト)
発明plusでは外部ライターとして主にIT系の記事を担当しています。日曜プログラマーとして、AI・機械学習・自然言語処理などで遊ぶ。