コラム
Column
知的財産権を保有することには様々なイイコトがあります。例えば、知的財産権の効果には独占権があります。製造や販売を独占し、結果として、流通や価格を維持して儲けやすくなります。これは最もわかりやすいメリットでしょう。
また、技術系の企業では特許権によって自社の技術力が客観的に評価されたと考えることもできます。特許は世界中で見ても新しい技術でなければ登録されません。そのため、特許の登録がされたということは新しい技術を開発し得たということを証明したことにもなるのです。新しい技術を開発したその技術力や人材があるということは誇らしいことであり、モチベーションにも繋がってきます。他社との差別化にもつながり、有望な人材を集める局面でも有効に働くことでしょう。
日本の特許出願は年間約30万件。そのうち、約80パーセント(約24万件)は大企業の出願です。技術開発には相応の投資が必要となることが多いので、資本の豊かな大企業が特許出願が多くなるのは当然の傾向です。
しかし、上に書いたように知的財産権を取得できれば製品の独占によって儲けられる可能性も多分にあります。だからこそ、資本力の小さい中小企業でもこの独占権をうまく使って儲けを生み出していくメリットがあるのではないでしょうか。欧米では、特許出願に占める大手企業の割合は日本よりも低く約60パーセント程度です。欧米の中小企業は上手く特許権を活用しようという意識が窺えます。
日本の中小企業は技術力が低いから特許出願が少ないのでしょうか。それは全く違います。日本の大手企業でも中小企業の技術を使わなければ製品を作れないことはよくあります。それだけ中小企業の技術は頼られているのです。また、大手企業から発注を受けている下請けの中小企業は、技術力があるからこそ継続して選ばれて仕事をしているのです。
時には、特許を取得できれば儲かると考える人もいます。そんなことはなく、製品が売れるから儲かるのであって、特許権はその独占の効力などによって事業を手助けするにすぎません。その辺りの違いや感覚をしっかり理解すれば、どのように特許権を取得して、どのように製造・販売に活用していくのかというポイントが見えてくるでしょう。
優れた製品を開発するだけでなく特許権によって流通や販売を独占する、特許は持っているだけでなく製造・販売をコントロールしてこそ活用される、このような発想をもつことで、知的財産権を活用して設けるというビジネスマインドが形成されてゆくと考えています。
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