言わずと知れたIT界の大手企業、マイクロソフト。Windows や Office で毎日お世話になっています。そんなマイクロソフトに気になる動きがありましたので紹介したいと思います。

オープンソース

ITの世界には「オープンソース」という考え方があります。プログラムは著作物ですのでもちろん著作権が存在するのですが、一定の条件に従えば、自由に複製等の利用を無償で認めるというものです。条件とは、例えば利用して新たに作成したプログラムも開示することなど、金銭以外の点で主に再利用を促進するような事項について定められています。
ソフトウェアの世界はこのオープンソースのフレームワークによって、ある人が生み出したプログラムを別の人が更に高度なプログラムに進化させるということをスピーディに繰り返して、ここ数年で飛躍的に進歩してきました。

PC上のソフトウェアのイメージ

特許の開放

オープンソースは著作権についての枠組みですので、特許に関しては少し事情が変わります。従来、IT業界でも特許を取得する企業は他の分野と同様、他社を排除するような独占権としての活用をしていました。音楽ファイルの形式や、画像ファイルの形式など、特許がハードルとなって利用が阻まれたものもありました。
今回のマイクロソフトの動きはその逆をいくものと言えるかもしれません。マイクロソフトは自身の保有する6万件の特許を、世界中のサーバーなどで利用される Linux という OS(オペレーティングシステム)の開発に取り組むコミュニティに対して開放することを表明したのです。もしかしたらこれまでマイクロソフトが保有する特許のために新たな機能を組み込めないなどの事情があったのかもしれませんが、これからはそれを気にすることなく、必要な技術を取り入れることができるようになります。マイクロソフトは「Linux とオープンソースを守るために」今回の決断をしたとしています。

マイクロソフトの発表
https://azure.microsoft.com/en-us/blog/microsoft-joins-open-invention-network-to-help-protect-linux-and-open-source/

GIGAZINE の記事
https://gigazine.net/news/20181011-microsoft-join-open-invention-network/

特許を誰にでも開放するというわけではなく、Open Invention Networkというコミュニティに参加する開発者に対してのみ開放するとしています。つまりこのコミュニティに参加しない企業や開発者は依然としてマイクロソフトの特許には注意が必要ということです。特許権者であるマイクロソフトの側からすると、自身の意図した部分には自由利用を認める一方で、不確かな部分については特許権を行使しうる余地を残しており、技術の利活用をコントロールしうるという特許権の意義を上手く使っていると感じます。

ソフトウェア分野に特許制度は不要などとの主張がなされることもありますが、特許制度も上手く使えば成長を守るために使えそうだという気がしてきます。筆者も Linux にはお世話になっていますので、この決断で一層のセキュリティや機能の発展を期待しています。

後藤 英斗

弁理士、情報処理安全確保支援士(登録セキュリティスペシャリスト)
発明plusでは外部ライターとして主にIT系の記事を担当しています。日曜プログラマーとして、AI・機械学習・自然言語処理などで遊ぶ。