コラム
Column
特許権や商標権の魅力は何といっても独占できることです。日本では自分以外には同じ商品を作ることができなくなるのです。独占できることをうまく使ったビジネスモデルを作った企業として、加圧トレーニングを流行させた加圧ジャパンという企業があります。
加圧トレーニングの料金を知っていますか?私が参加したところでは1時間数万円しました。通常の筋力トレーニングと比べるととても高いかと思います。高くても加圧ジャパン認定のトレーニングスタジオに行かなければ加圧トレーニングを行うことはできません。それは、加圧ジャパンが加圧トレーニングについて特許権を持っているからです(特許第2670421号)(現在はこの権利は期間満了により消滅しています)。加圧ジャパンが認定していないトレーニングスタジオで加圧トレーニングを行うと、トレーニングスタジオは特許権侵害として訴えられてしまったからです。また、最悪の場合にはその無許可のトレーニングジムは損害賠償金を支払わなければならなかったからです。
そのため、加圧ジャパンが運営するトレーニングスタジオ以外では加圧トレーニングを行えず、高い料金設定でも加圧ジャパンの運営する加圧トレーニングに行くしかなかったのです。
ただ、加圧ジャパンが加圧トレーニングについて特許権を持っていたとしても、加圧トレーニング自体がいいものでなければ高い料金を払って受講する人はいません。加圧トレーニングは、ビジネスモデルもさることながら、短い時間で体の引き締め効果を出すというトレーニング自体の優れた効果があるようです。また、マーケティングなどのCMも上手で芸能人などが使うことで知名度を上げていきました。
ですが、その加圧トレーニングの特許権も実は2013年11月に権利が切れました。特許は最長20年です。加圧ジャパンは20年間の間加圧トレーニングを独占してきたのです。
しかし、これだけ知的財産権に力を入れている加圧ジャパンです。特許権が20年で切れた場合の先まで見越しています。
なぜならば、加圧ジャパンはブランド価値を維持するために「加圧トレーニング」の他「加圧ヨガ」「加圧カラテ」など合計30個以上の商標権を抑えてブランドをコントロールすることをしています。特許権は20年間を経過すると権利は切れますが、商標権は更新し続けることで永続的にブランドを守ることができる点で有効です。そのため、加圧ジャパンは特許権が切れたときに備えて商標権を数多く取得しているのではないかと思われます。
知的財産権を持つと権利者は独占権という利益を受けることができます。独占権の利益を使うと企業にとっては強いビジネスモデルを作ることも可能です。
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