2018年12月30日から4回に分けて改正著作権法施行されるため、皆様に密接に関わりがあると考えられる改正箇所を中心に解説していこうと思います。

ところで、なぜ施行日が4回に分かれているのでしょうか。
実は、これらの改正はそれぞれ背景(根拠となる協定又は法律)が異なっており、そのことが施行日に影響しています。

第1回目の施行日は、平成最後の年末である2018年12月30日。皆様もおそらく耳にしたことがあると思われる、TPP協定(環太平洋パートナーシップ協定)を根拠として改正がなされます。

1回目の改正では、具体的には下記の5点が改正されます。特に(1)と(2)は、著作物を利用する場合に密接にかかわってくる話ですので、しっかりと解説していきたいと思います。

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(1) 著作物等の保護期間の延長(第51条第2項,第52条第1項,第53条第1項,第101条第2項第1号及び第2号関係)

  • 著作権は、著作者の死後70年を経過するまで存続(共同著作物は最後に死亡した著作者が基準)(著51-2)
  • 無名・ペンネームの著作物の著作権は、原則公表後70年を経過するまで存続(著52-1)
  • 法人、団体名義の著作物の著作権は、原則公表後70年を経過するまで存続(著53-1)
  • 著作隣接権のうち、実演に関しては、実演が行われた日の属する年の翌年から起算して70年を経過した時(著101-2-1)
  • 著作隣接権のうち、レコードに関しては、発行が行われた日の属する年の翌年から起算して70年を経過した時(著101-2-2)

従来50年であった映画以外の著作物の著作権も、概ね70年になったと覚えておけば良さそうです。
ただし、著作隣接権のうち放送又は有線放送の保護期間はTPP協定で言及されていなかったことにより、現行のまま(その放送が行われた日の属する年の翌年から起算して50年を経過した時)ですので、注意が必要です。

(2) 著作権等侵害罪の一部非親告罪化(第123条第2項及び第3項関係)

以下3つの全ての要件に該当する場合に限って、非親告罪(権利者等の告訴がなくても公訴を提起できる)となります。

  • 侵害行為の対価として財産上の利益を受ける目的があること、又は、有償著作物等(権利者が有償で公衆に提供・提示している著作物等)の提供・提示により権利者の得ることが見込まれる利益を害する目的があること
  • 有償著作物等を「原作のまま」公衆送信するか、「原作のまま」複製したものを公衆に譲渡すること。または、これらの行為のために有償著作物等を複製すること
  • 有償著作物等の提供・提示により権利者の得ることが見込まれる利益が不当に害されることとなる場合であること

なお、同人誌、コミケ(コミックマーケット)は、「原作のまま」著作物等を用いるものではなく、また、市場においても原作と競合しないため、権利者の利益を不当に害するものではない、とのことで非親告罪には該当しないと考えられています。

(3) 著作物等の利用を管理する効果的な技術的手段に関する制度整備(アクセスコントロールの回避等に関する措置)(第2条第1項第21号,第113条第3項,第119条第1項,第120条の2第1項第1号及び第2号関係)

「アクセスコントロール機能のみを有する保護技術」については、現行法では技術保護手段の対象とされていませんでしたが、改正により対象に含まれることになり、新たに「技術的利用制限手段」と定義されています。このような技術的利用制限手段の回避を行う装置・プログラムを公衆へ譲渡する行為等を刑事罰の対象とすることとしています。

(4) 配信音源の二次使用に対する使用料請求権の付与(第95条第1項関係)

実演家・レコード製作者は、インターネット等から直接配信される音源を用いて放送等を行った放送事業者等に対して二次使用料請求権を有するようになります。

(5) 損害賠償に関する規定の見直し(第114条第4項関係)

著作権等管理事業者により管理されている著作権が侵害された場合、著作権者等は、著作権等管理事業者の使用料規程により算出した額を損害額として、賠償を請求することができるようになります。


今後の改正についても当サイトで紹介していきますので、要チェックでお願いします。

参考文献

「著作権法改正について」の連載記事

愛知県出身。弁理士。
現在は東京に住んでいるが、
慣れ親しんだスガキヤのラーメン(ソフトクリームは必ず付ける派)が食べられず、寂しい思いをしている。