サッカー

 「サッカー」という言葉は商標登録されている!?

「サッカー」という言葉は実は商標登録されています。そう聞くと驚く方もいらっしゃるかと思います。実は「サッカー」の言葉が登録できるのには商標登録にからくりがあるからです。

商標登録の内容が書かれ公開された権利書のようなものに商標公報があります。商標公報に書かれている商標を登録するために特定されているものが①マークと②そのマークを使う商品・サービスです。商標で勘違いされるが、商標登録がされた場合、登録されたマークについてはどんな商品やサービスにつけてもダメだと思われていることです。

しかし、②の商品・サービスは特許庁が指定する1~45の商品区分に分かれており、どの区分を特定するかによって商標の権利の範囲が変わってきます。特定されていない商品・サービスの区分であれば似ていない限りは使ったとしても商標の権利の範囲に入らない可能性があるのです。では、1~45の商品区分をすべて特定すればいいじゃないかと思うかもしれませんが、1つ区分を増やすごとに特許庁に支払う金額も高くなります。そのため、むやみに区分を増やすことは経費が増えることになるためおすすめしません。

「APPLE」が商標登録されているのと同じこと

「サッカー」が登録されたのはなぜかというところに戻ります。「サッカー」は一般的な言葉だから、登録できるのがおかしいと思うかもしれません。ですが、一般的な言葉を「Apple」に置き換えて考えてみてください。ご存じスマートフォンなどを販売する「Apple」です。当然商標登録を持っています。「Apple」であると商標登録されて当然と思うかもしれませんが、①マーク「Apple」、②商品が「りんご」の場合には一般的であるため登録はできません。

しかし、①マーク「Apple」、②商品が「携帯電話」などであれば登録ができます。それは、商品「携帯電話」に「Apple」を使うのは一般的ではないからです。一般的な言葉について商標登録が取られてしまうと他の人が使えなくなるため、影響力があまりにも大きく特許庁は登録を認めていません。万が一①マーク「Apple」、②商品「りんご」で登録がされてしまった場合には商品「りんご」について「Apple」のマークを使えなくなってしまうからです。

それと同じ理由で①マーク「サッカー」について②競技のサッカーは一般的で登録できませんが、商品が「ハム」である場合には登録が認められるのです。ちなみに「ハム」関係について「サッカー」で商標登録を持っているのは日本ハムです(登録3210877)。

商標登録は①マークと②商品・サービスが特定されています。商品・サービスが違えば権利の範囲に入らない可能性があります。また、商品との関係でマークが関係なければ一般的な言葉でも登録が認められることがあります。

富澤 正

弁理士。当サイト『発明plus(旧:開発NEXT)』および同タイトルのフリーペーパーの編集主幹。
■経歴
知財コンサルタント。コスモス特許事務所パートナー。名古屋工業大学非常勤講師。
1980年愛知県生まれ。名古屋工業大学大学院修了。
特許業務の傍ら、知的財産の執筆活動・講演活動などを行う。自身の知的財産権を活かしてアイデア商品を作るベンチャー企業Time Factory株式会社を設立し、資格試験の受験生向けの商品などを手掛ける。
■専門分野
知財ビジネスマッチング、開放特許活用戦略、知財を活かしたビジネスモデル作り
■著書
『社長、その商品名、危なすぎます!』(日本経済新聞出版社)
『理系のための特許法・実用新案法』(中央経済社)
『理系のための意匠法』(中央経済社)
『理系のための商標法』(中央経済社)
■連載
『日経産業新聞』にて連載 (2017.5.12~20217.5.20)
『中部経済新聞』「みんなの特許」を毎週月曜日に連載中 (2014.4~現在)『サンケイビジネスアイ』「講師のホンネ」にて月1コラム連載 (2013.5~2014.1)
『日刊信用情報』にて「知財コンサルタント富澤正の「知的財産権を極める」」を週1コラム連載 (2013.9~2014.8)