コラム
Column
商標の古い裁判例には「コケ・コーラ事件」というものがあります。「コケ・コーラ」としてコーラを販売した人に対してコカコーラ社が訴えて裁判になった事案です。今なら「コケ・コーラ」を使ってはだめなことはなんとなく商売をしている方なら理解できると思います。コケ・コーラを使っていた会社は負けました。
では、「Always Coca-Cola!」と聞いて思い出す方はいらっしゃいますでしょうか。コカコーラ社が約5年間ほど「Always Coca-Cola!」のキャッチフレーズをテレビコマーシャルなどで流していました。私もこの言葉を聞くとあのテレビコマーシャルで赤いコカコーラの缶からシュワシュワした炭酸の効いたコーラが思い浮かびます。キャッチフレーズは消費者の脳裏に残るような効果があり、マーケティングなどでもよく使われます。
ただ、ここでお話ししたいのは、マーケティングやキャッチフレーズの話ではなく商標のお話です。キャッチフレーズの中の「Always」の部分に似た商標として実は「オールウエイ」の登録商標を持っている人がいたのです。そして、「オールウエイ」の登録商標を持っていた人がコカコーラ社を相手取り訴えたのです。
確かに「Always Coca-Cola!」の中には、登録商標である「オールウエイ」の言葉が入ってきています。ですが、コカコーラを購入しようとする需要者は「Always Coca-Cola!」の文字を見た時に、「Always」をみて購入するのではなく「Coca-Cola」をみて商品を購入します。「Always」についてはキャッチフレーズであり商標として使っていたのではありません。そのため、裁判所もコカコーラ社が「Always」を使ったのはキャッチフレーズであり商標を使ったものでないと判断しました。
最終的にはコカコーラ社の主張が認められ商標権の侵害ではないこととなりました。ですが、会社によっては裁判に勝てばいいという会社ばかりではなく、訴えられることを良しとしない会社があります。例えば、公共性が高い企業などでは訴えられることによる風評被害などもあります。そのような公共性の高い企業にとってはキャッチフレーズに商標が入っていて訴えられたときには大変です。
キャッチフレーズについては、原則として商標権の権利は及びません。そのため、裁判で戦えば原則として負けません。ですが、表面上は商標を使っているように見えるため商標権者が裁判を起こすことはあり得ます。
裁判のリスクを恐れていては商売をすることはできません。ですが、そのリスクを少しでも減らして商売をしていくことも重要です。そのため、キャッチフレーズなどの中に他人の商標権が含まれていないかなども一度調べてリスクを知っておくのもいいでしょう。
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