製品作りのパターン

新たに製品を作ろうとしたとき、パターン(型)が決まっていると進めやすいです。
知的財産(開放特許)を活用する製品作りとして大きくは2つのパターンでできると私は考えています。1つ目のパターンは関心からの発想法、2つ目のパターンは簡単からの発想法です。これら2つの発想法に共通するポイントは、自社技術の中から自社の強みを掘り出すことにあります。今回はこの2つのパターン(発想法)を紹介します。

関心からの発想法

この発想法では、自社製品に着目します。自社製品が売れるか売れないかについて関心がない技術者はいないと思います。自社製品は関心を集める最たる例だとも言えます。
また、自社製品にそのままマッチする開放特許があれば儲けものです。自社製品に特許技術が加わることで他の商品との差別化を図ることができるからです。

下請け企業で自社製品を持たない場合はどうでしょう。いつも作っている製品は発注元から指示されたものであり、自社製品とは言いにくい。この場合には、自社の課題に着目してみましょう。自社の課題は、自社の関心ごとです。そして自社で関心があるということは、同じ製品分野でも関心があるという可能性があるのでモノによっては製品化を検討するきっかけになるはずです。例えば、生産ラインの中で使える工具や設備などに利用できそうな開放特許は比較的人気が高いです。

たくさんある開放特許から何かを探すきっかけとして、自社や分野で「何に関心があるのか」を踏まえることで目的や条件がはっきりします。

簡単からの発想法

この発想法では、自社の技術に着目します。関心からの発想法と異なり、何を作りたいかがわからないときに自社製品を作るヒントになるものです。

以前に紹介したシステム開発のアルコ・イーエックス社(茨城県ひたちなか市、以下アルコ社)は、富士通の開放特許「患者見守り技術」を使って自社製品を生み出しました。この経緯としては、アルコ社が自社のシステム開発技術を活用して何か製品を作れないかと模索していた時に、富士通の開放特許技術に出会ったそうです。当初から「何か作りたい」という想いはあったものの何を作るのかは決まっていない、そんなケースで自社技術と開放特許がマッチした事例です。

この発想法での注意としては、出てきた製品のアイデアが情熱を注げるようなものでなければならないということです。アイデアを製品化し、それを販売しているには、自社技術や開放特許を利用しているとはいえパワーが必要です。製品をビジネスとして成功に導くためには、やはり強い関心を持てるようなものに仕上げる必要があります。

今回、開放特許を活用した製品開発のパターンとして2つの発想法を紹介しました。どちらの発想法でも自社のノウハウや技術が重要です。自社のチカラを再確認することでも新たな製品創造の途を拓くことができます。

富澤 正

弁理士。当サイト『発明plus(旧:開発NEXT)』および同タイトルのフリーペーパーの編集主幹。
■経歴
知財コンサルタント。コスモス特許事務所パートナー。名古屋工業大学非常勤講師。
1980年愛知県生まれ。名古屋工業大学大学院修了。
特許業務の傍ら、知的財産の執筆活動・講演活動などを行う。自身の知的財産権を活かしてアイデア商品を作るベンチャー企業Time Factory株式会社を設立し、資格試験の受験生向けの商品などを手掛ける。
■専門分野
知財ビジネスマッチング、開放特許活用戦略、知財を活かしたビジネスモデル作り
■著書
『社長、その商品名、危なすぎます!』(日本経済新聞出版社)
『理系のための特許法・実用新案法』(中央経済社)
『理系のための意匠法』(中央経済社)
『理系のための商標法』(中央経済社)
■連載
『日経産業新聞』にて連載 (2017.5.12~20217.5.20)
『中部経済新聞』「みんなの特許」を毎週月曜日に連載中 (2014.4~現在)『サンケイビジネスアイ』「講師のホンネ」にて月1コラム連載 (2013.5~2014.1)
『日刊信用情報』にて「知財コンサルタント富澤正の「知的財産権を極める」」を週1コラム連載 (2013.9~2014.8)