前回の投稿では、自社開発の技術について特許権を取得した場合、その費用を支払手数料などの経費として処理することを説明しました。今回は自社で出願するのではなく、既に他社が取得した特許権を「購入」する場合について紹介します。

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購入した特許権の資産計上

他社から購入した特許権(知的財産権)は、会計では無形固定資産に該当します。
「無形」とは、目に見えないものであることを示し、「固定資産」とは、長期にわたって利用するものを示します。知財分野でも無体財産と呼ぶのであまり違和感はありませんね。

無形固定資産は、購入価額+付随費用を資産とします。特許権の購入代価そのものの他、その購入にかかった費用も含めて無形固定資産として計上することができます。

購入した特許権はその後の商品開発などで長期にわたって利用するものですので、会計上も購入等にかかった費用が長期にわたる負担となるように反映させます。それが次に説明する減価償却です。

減価償却

わかりやすい例として、自動車を考えてみましょう。自動車は有形固定資産ですが考え方はほとんど同じです。自動車を購入した場合、1年で処分することは少ないです。一般的には5年や6年は利用します。
自動車を仮に300万円で一括で購入した場合、まずはその300万円を資産に計上します。そしてその300万円をおそらく自動車を利用する期間であろう6年間をかけて少しずつ経費に落としていく、というのが減価償却です。
「経費に落とす」とは、資産を減価償却費という費用勘定に振り替えることで費用化することです。そうすることで無形固定資産としての金額は減る一方で、その金額が費用として計上されることになります。費用は年度などの会計期間ごとに集計されますから、無形固定資産を利用する長期間にわたって費用負担を振り分けることができるというわけです。
この減価償却は、会計基準や税法で定められたルールです。この例に出た6年という期間を耐用年数といいます。

耐用年数は資産に応じて見積もるのですが、個別に検討するのは煩雑ですし、課税の面で不公平が生じる可能性もあります。一般的には、耐用年数表という一般的な耐用年数が示されている資料を参考にして減価償却を行います。

知的財産権の耐用年数は次の通りです。

特許権
8年
実用新案権
5年
意匠権
7年
商標権
10年

権利の存続期間(例えば特許権なら出願から20年)とは別に耐用年数が定められていることに注意が必要です。また、商標権は更新によって半永久的に維持することが可能で、しかも長期使用によって価値が高まるともされていますが、会計上は10年で資産としての価値を償却します。

なお、知的財産権の減価償却は、上に挙げた耐用年数にわたって均等に償却する定額法という方法で行うこととされています。

畑中 外茂栄

保有資格:公認会計士/税理士/キャッシュフローコーチ
社長のモヤモヤしている想いを言語化し、
会社を防衛するための財務戦略を社外No2のポジションで実践するパートナーとして活動している。
得意分野は社長が真にやりたいことや将来のビジョンを明確にした上での財務戦略立案。
お金の出入りを見える化した予算実績管理、銀行との融資交渉、資金繰り対策を行っている。
「お金の悩みを1枚の図で一気に解決する!経営数字のワークショップ」や「知識0からOK!ビジネスを加速させる決算書の見方」、「会社の財務体質を強くする!正しい節税の考え方」などを定期的に開催している。
https://sun-tax.or.jp/