第1回第2回と近年の著作権法改正について説明をしてきました。今回紹介する2019年4月1日施行の改正は「学校教育法等の一部を改正する法律」を根拠とした、主に学校用の教科書等を制作や出版される方に関わりのある内容です。

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昨今の情報化の進展にともない、教育の現場でもプロジェクターやデジタル教材、さらにはAI・ビッグデータなどを活用する機会が増えています。このような背景から2020年度より実施される新学習指導要領では、これまでの紙の教科書の代わりに、デジタル教科書(紙の教科書と同一の内容をデジタル化したもの)を使用することができるようになるそうです。

このデジタル教科書に関連して、デジタル教科書への著作物の掲載・利用について補償金付きの権利制限規定が設けるよう著作権が改正されます。「権利制限」とは、著作権の行使を制限することで、例えば、著作権者の許諾を得ることなく複製等が可能なことを示します。

従来も、紙の教科書への著作物の掲載については補償金付きの権利制限規定が設けられていました。教科用図書代替教材であるデジタル教科書にも紙の教科書と同等に著作物を利用できるよう、この権利制限規定が修正されます。

具体的には、著作権法に第33条の2(教科用図書代替教材への掲載等)が創設され、

  • 教科用図書(紙の教科書)に掲載された著作物であること
  • 学校教育の目的上必要と認められる限度であること

上記の要件を満たせば、教科用図書代替教材(デジタル教科書)に著作物の掲載ができ、複製や送信などの方法を問わずに利用ができます。
※現行の第33条の2は第33条の3に番号が繰り下げられます。

なお、「補償金付き」の規定であるので、デジタル教科書を制作するにあたっては、あらかじめ教科用図書(紙の教科書)を発行者に通知するとともに、文化庁長官が定める算出方法により算出した額の補償金を著作権者に支払う必要があります。

愛知県出身。弁理士。
現在は東京に住んでいるが、
慣れ親しんだスガキヤのラーメン(ソフトクリームは必ず付ける派)が食べられず、寂しい思いをしている。