発明の母

弁理士としての仕事は、新しいアイデアや発明に携わるものです。

発明者がどのような考えによって新しいアイデアや発明を考えているかがわかります。
ほとんどのアイデアや発明が、既存の物をカスタマイズした改良発明です。商品が世に出るとユーザーからさまざまな要望が届きます。ここが使いにくい!ここを何とかしてほしい!といった声です。
程度によってはクレームと呼ばれるものもあるかいうものになるかもしれません。クレームはユーザーからの必要性の訴えであり、宝の山です。そのクレームを解決することは、ユーザーの「必要」を満たした商品となり、更に売れるようになるのです。

企業ではユーザーからの要望を集め、それを解決するように新しいアイデアや商品を作っています。まさに「必要は発明の母」です。

ライバルに差をつける

しかしながら、ユーザーからの要望から新しいアイデアや商品を作っているばかりでは、ライバル会社に先んじることは難しいです。
ユーザーからの声は、同じような商品を作るライバル企業にも届いているからです。そのライバル企業に差をつけるには、ユーザーが商品を使ってから要望を出してくる前に要望に気が付くことが重要になります。要望=「必要」が出てくる前にその問題を解決することができれば、ユーザーが望んだものを先に作ることができます。
ユーザーが望むものを先に作るためには、「イラッとすること」の問題点を探すことです。「イラッとすること」は、そこには要望が隠れています。

私の体験談「資格合格グッズ」

例えば、私が弁理士試験の受験生だった頃、丸箸でタイの刺身を食べようとしたときにタイの刺身が滑って落ちました。「落ちる」は受験生にとって致命的ですので、ものすごくイラッとしたのを覚えています。そのときの感覚から受験生の箸は丸箸ではなく、滑りにくい角が必要だということに気が付いたのです。
さらにがある箸という特徴から発想して「資格」=「四角」、「合格」=「五角」の「資格合格」箸を思いついたのです。「資格合格」グッズは鉛筆などの文房具にも展開することができました。現在は楽天市場でも合格祈願グッズの最初のページに載るほどにまで成長しました。さらには資格合格鉛筆は捨てにくい商品であるということもあって、大学や各種資格試験の会場でも配布されるノベルティにも採用されています。私が丸箸から鯛を落としたイラッと体験から、さまざまな方面に展開する商品を生み出した例を紹介させていただきました。

イラッとしたことを解決することで、ユーザーに必要とされる新しい売れる商品を作ることができる!これは、ユーザーの立場に立ったモノづくりにほかなりません。

富澤 正

弁理士。当サイト『発明plus(旧:開発NEXT)』および同タイトルのフリーペーパーの編集主幹。
■経歴
知財コンサルタント。コスモス特許事務所パートナー。名古屋工業大学非常勤講師。
1980年愛知県生まれ。名古屋工業大学大学院修了。
特許業務の傍ら、知的財産の執筆活動・講演活動などを行う。自身の知的財産権を活かしてアイデア商品を作るベンチャー企業Time Factory株式会社を設立し、資格試験の受験生向けの商品などを手掛ける。
■専門分野
知財ビジネスマッチング、開放特許活用戦略、知財を活かしたビジネスモデル作り
■著書
『社長、その商品名、危なすぎます!』(日本経済新聞出版社)
『理系のための特許法・実用新案法』(中央経済社)
『理系のための意匠法』(中央経済社)
『理系のための商標法』(中央経済社)
■連載
『日経産業新聞』にて連載 (2017.5.12~20217.5.20)
『中部経済新聞』「みんなの特許」を毎週月曜日に連載中 (2014.4~現在)『サンケイビジネスアイ』「講師のホンネ」にて月1コラム連載 (2013.5~2014.1)
『日刊信用情報』にて「知財コンサルタント富澤正の「知的財産権を極める」」を週1コラム連載 (2013.9~2014.8)