開放特許

 

注目される開放特許

内閣総理大臣を本部長に置く知的財産戦略本部が「知的財産推進計画2015」を二〇一五年六月に発表しました。その中に重点三本柱の計画として初めに開放特許について記述しています。国も地方の中小企業が知財を活用するために開放特許の活用を進めようとしているということです。

開放特許とは、自社で開発した技術資産である特許を、他社にライセンス契約などの形で開放する意思のある特許のことを言います。開放特許を使い新たな新製品を作ることで特許を使う側の中小企業には次のような効果が生まれます。

 

開放特許を使う5つのメリット

1.開発にかかる時間や資金を抑えられる

不足する技術を速やかに入手することができ、時間や資金負担を軽減して自社製品を開発することができます。「何か新しい商品を作ろうと考えている」「新規参入をしたいが今から始めると研究費や時間がかかる」というような場合に有効です。また、すでに作っている製品がある場合には、機能の追加として開放特許を使うことも有効です。

 

2.大企業の特許を使って共同開発できる

大企業の特許を活用して自社製品を開発することで、大企業のブランド力を生かすことができます。結果的に大企業と共同開発をすることになりますので、製品にも付加価値が付きますし、自社の実績にも繋がるでしょう。

 

3.特許管理をせずとも、特許の利点を享受できる

特許を取得していることにより、競合製品と差別化・独占化をすることができます。本来なら特許取得と同時に、特許管理も必要になります。しかし、開放特許の場合は、その特許を保有している会社が管理までを担ってくれます。特許管理の部門を持たない中小企業には、ありがたい話だと思います。

 

4.メディアに取り上げられる可能性も高い

開放特許による「知財マッチング」と「オープンイノベーション」は、現在ものづくり業界でのトレンドとも言えます。つまり、様々なメディアに取り上げられる可能性があり、宣伝効果が大きいと考えられます。開放特許を使ったことで知名度が上がり従来製品の販売の活性化になった事例もあります。

 

5.大企業の受注生産から、大企業との共同開発へ

今までに自社製品を作ったことがない会社でも、自身がメーカーとなり製品の開発・販売に取り組めるでしょう。さらに、大企業とパートナーの提携を結ぶこともできます。これまで大企業の下請けとして開発している会社も、共同して技術開発を行えるようになれば、事業の内容も広がります。同時に、社員のやる気も高まることが期待できます。

富澤 正

弁理士。当サイト『発明plus(旧:開発NEXT)』および同タイトルのフリーペーパーの編集主幹。
■経歴
知財コンサルタント。コスモス特許事務所パートナー。名古屋工業大学非常勤講師。
1980年愛知県生まれ。名古屋工業大学大学院修了。
特許業務の傍ら、知的財産の執筆活動・講演活動などを行う。自身の知的財産権を活かしてアイデア商品を作るベンチャー企業Time Factory株式会社を設立し、資格試験の受験生向けの商品などを手掛ける。
■専門分野
知財ビジネスマッチング、開放特許活用戦略、知財を活かしたビジネスモデル作り
■著書
『社長、その商品名、危なすぎます!』(日本経済新聞出版社)
『理系のための特許法・実用新案法』(中央経済社)
『理系のための意匠法』(中央経済社)
『理系のための商標法』(中央経済社)
■連載
『日経産業新聞』にて連載 (2017.5.12~20217.5.20)
『中部経済新聞』「みんなの特許」を毎週月曜日に連載中 (2014.4~現在)『サンケイビジネスアイ』「講師のホンネ」にて月1コラム連載 (2013.5~2014.1)
『日刊信用情報』にて「知財コンサルタント富澤正の「知的財産権を極める」」を週1コラム連載 (2013.9~2014.8)