はじめての特許出願

日本では1年間に約30万件の特許出願がなされています。そのうち中小企業の特許出願は約8万件となっており、多くは製造業です。製造業以外の中小企業にとって、特許はあまり馴染みのないものになっているようです。

しかし、最近ではビジネスモデルで特許出願を行うなど、これまで特許とは縁遠かった企業が初めて特許出願をするという事例が増えてきています。初めて特許出願を行う企業には知的財産を扱う知財担当者がいないため、複雑な特許制度にとまどうことも多いと聞きます。

「拒絶理由通知」が来た

特許出願をして審査まで進むと、多くの方が受け取るであろう「拒絶理由通知書」。拒絶理由通知書とは、出願した発明が法律で定められた要件(条件)をクリアできていないとき、つまり特許を受けられない理由が発見されたときに特許庁から送られる書類です。言い換えれば、拒絶理由通知書に書かれている拒絶理由を解消できれば特許を受けることができるのです。この書類は審査された特許出願のうち、約8割の出願に対して出されるといわれています。

ところが、特許制度にあまり詳しくない方の場合には、特許を受けることができないと勘違いしてしまったり、拒絶理由の解消の仕方や提出書類(意見書・補正書)の作成方法がわからなかったりして、特許取得をあきらめてしまうことも多いようです。

特許庁の「お助けサイト」

特許庁は、初めて特許取得を目指す人向けに「拒絶理由通知書」への対応をわかりやすく解説したお助けサイトを開設しています。通知書の見方や拒絶理由の解説、提出書類(意見書・補正書)の提出期限など、「拒絶理由通知書」を受け取った後の対応がわかるようになっています。

ほかにも、中小企業や個人が対象となる審査請求料や特許料の減免制度やインターネット出願の方法などが紹介されています。スマートフォンにも対応しており、手軽に見ることができます。

こうした特許庁の取り組みによって、より多くの人に特許取得のチャンスが増えてくることと思います。これまで特許出願をしたことがなかった企業も、積極的に特許出願をすることでビジネスを発展させる手段として特許が活用されていけばと特許に携わる弁理士として感じています。

富澤 正

弁理士。当サイト『発明plus(旧:開発NEXT)』および同タイトルのフリーペーパーの編集主幹。
■経歴
知財コンサルタント。コスモス特許事務所パートナー。名古屋工業大学非常勤講師。
1980年愛知県生まれ。名古屋工業大学大学院修了。
特許業務の傍ら、知的財産の執筆活動・講演活動などを行う。自身の知的財産権を活かしてアイデア商品を作るベンチャー企業Time Factory株式会社を設立し、資格試験の受験生向けの商品などを手掛ける。
■専門分野
知財ビジネスマッチング、開放特許活用戦略、知財を活かしたビジネスモデル作り
■著書
『社長、その商品名、危なすぎます!』(日本経済新聞出版社)
『理系のための特許法・実用新案法』(中央経済社)
『理系のための意匠法』(中央経済社)
『理系のための商標法』(中央経済社)
■連載
『日経産業新聞』にて連載 (2017.5.12~20217.5.20)
『中部経済新聞』「みんなの特許」を毎週月曜日に連載中 (2014.4~現在)『サンケイビジネスアイ』「講師のホンネ」にて月1コラム連載 (2013.5~2014.1)
『日刊信用情報』にて「知財コンサルタント富澤正の「知的財産権を極める」」を週1コラム連載 (2013.9~2014.8)